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   旧ITV本社・スタジオビルの再開発「72 Upper Ground」/ 既存建物躯体を再活用する大規模改修「1 Victoria Street」

総事業費合計約2,480億円 ロンドン市内の大規模オフィス2案件が始動

 三菱地所株式会社はこのほど、ロンドン市内における2つの大規模オフィス事業「72 Upper Ground (72 アッパーグランド)」(延床面積:約91,200㎡)および「1 Victoria Street(1 ビクトリア ストリート)」(延床面積:約65,700㎡)を本格始動しました。両プロジェクトの総事業費合計は約2,480億円で、いずれも英国法人の三菱地所ロンドン社を通じて100%のシェアで事業を推進します。「72 Upper Ground」は2025424日の着工および2029年の竣工を予定、「1 Victoria Street」は2025423日の着工および2028年の竣工を予定しています。

【72 Upper Groundの特徴】
・ 総事業費1,600億円、ロンドン・サウスバンクにおける旧ITV本社・スタジオビルの再開発
・ テムズ川沿いの景観保全地区内、敷地の40%を公開空地とし、オープンスペースを創出
・ 自然換気窓や高性能外装、再生可能エネルギー利用等、複数の環境認証で最高評価を取得予定

1 Victoria Streetの特徴】
・ 国会議事堂やウェストミンスター寺院に近接する自社保有物件の大規模改修事業
・ 既存躯体や資材の再活用、再生可能エネルギーの利用等により、環境に最大限配慮した計画
・ 眺望を活かした屋外スペースや多様なアメニティの整備及び、まちの賑わいへの貢献

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 三菱地所ロンドン社は、1985年の欧州事業進出以降、欧州にて約24棟を取得・開発してきました。今後も、英国ロンドンにおけるオフィス開発のほか、英国での賃貸住宅及び物流施設開発、欧州大陸でのオフィス開発など、マーケット特性に合わせた事業を積極的に展開し、海外事業の持続的な成長を実現してまいります。


■「72 Upper Ground」特徴

【総事業費1,600億円、ロンドン・サウスバンクにおける旧ITV本社・スタジオビルの再開発】

 旧ITV本社・スタジオビル(1972年竣工)を2019年に取得し、計画検討を進め、20251月より既存建物の解体工事に着手しました。本計画の総事業費は約1,600億円で、当社の欧州における開発として過去最大の規模(総事業費ベース)となります。

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 サウスバンクエリアは、産業革命期には倉庫・工場街として栄えたエリアで、第二次世界大戦以降、テムズ川沿いを中心に開発が進み、観光スポットとなっている観覧車「ロンドン・アイ」のほか、コンサート・ホール、劇場などの文化施設や、商業、住宅用途が集積しています。近年ではその交通利便性が評価され、オフィスマーケットとしても確立しつつあります。本物件は、鉄道や地下鉄など複数路線が乗り入れ、英国有数の乗降者数を誇るWaterloo駅から徒歩8分という優れたアクセス性を備えます。

 ロンドンにおいてGrade Aオフィスの供給が逼迫している中で、本物件は約9006,000㎡の多様なフロアプレートを有することに加え、テムズ川沿いの優れた眺望やターミナル駅であるWaterloo駅への良好なアクセス、専用テラス等のアメニティが充実していることから、高い需要が期待できます。

また、北棟と南棟の連結部分となる地上2階~地下1階には文化・芸術分野のクリエイターの成長を支援する低廉な賃料設定のアフォーダブルオフィス「London Studios」を整備し、地域に根ざした産業の発展に貢献します。

【テムズ川沿いの景観保全地区内、敷地の40%を公開空地とし、オープンスペースを創出】

 テムズ川沿いの景観保全地区内でもある本プロジェクトは、その開放的なリバービューを最大限に活かした設計としています。敷地の40%を公開空地として開放することで、川沿いの遊歩道と連携したオープンスペースを創出し、低層部の飲食店舗とともにエリアの一体的な賑わいに寄与します。さらに、オフィスにおける外部空間の重要性が高まる昨今、7階基壇部に大規模テナント共用テラスを設置するほか、ほぼ全フロアにテラス・バルコニー等の外部空間を設置します。

【自然換気窓や高性能外装、再生可能エネルギー利用等、複数の環境認証で最高評価を取得予定】

 英国ではオフィスビルの環境性能が非常に重視されています。本物件では先進的な設計により使用する鉄骨量を削減することで建設時のCO2排出量減に寄与するほか、環境性能に優れたガラスファサードの採用等による省エネ化、ビル全体で再生可能エネルギーの使用により、稼働中のエネルギー効率にも寄与することで、「BREEAM Outstanding1EPC A Rating2WELL Platinum3の各環境認証で最高評価を取得予定です。

1 BREEAM
 BRE Environmental Assessment Method
の略で1990年より運用開始となった英国発の建築物環境性能評価制度。エネルギー、健康と快適性、水、材料、廃棄物等の計10の項目において評価され、Pass, Good, Very Good, Excellent, Outstanding5段階で評価される。
2 EPC
 建築物のエネルギー効率をA~G7段階で評価する制度。2015年に法律で定められたMinimum Energy Efficiency Standard (MEES)に基づき、2030年までにBに満たないオフィスビルはテナントへの新規貸付ができなくなる。
※3 WELL Certification
 人の健康とウェルビーイングの観点から建物・空間を評価する米国発の国際的な認証システム。

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■「1 Victoria Street」特徴

【国会議事堂やウェストミンスター寺院に近接する自社保有物件の大規模改修事業】

 本物件は国会議事堂やウェストミンスター寺院といった歴史的建築物が立地する保全地区に隣接し、三菱地所ロンドン社が2013年に取得して以降運用してきました。本物件は取得時より政府系テナントへ一棟貸ししておりましたが、20241月にテナントが退去し、20251月より既存建物の一部解体工事に着手しております。

ウェストミンスター・ビクトリアエリアは国会議事堂やウェストミンスター寺院を中心とした歴史的建築物が集積し、従来より首相官邸をはじめとする英国政府関係機関が多く所在していました。近年では、英国政府の経費削減策による移転・縮小に伴い、鉄道ターミナル駅であるVictoria駅を中心にオフィスや住宅の再開発が進み、職住近接エリアとしての地位が高まっています。本物件は地下鉄23路線が利用可能なほか、ガトウィック空港への直行便を含む複数路線が乗り入れる英国有数の鉄道ターミナル駅であるVictoria駅も徒歩圏内に位置し、優れたアクセス性を備えます。

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【既存躯体や資材の再活用、再生可能エネルギーの利用等により、環境に最大限配慮した計画】

 近年、英国では環境意識の高まりにより、開発許認可プロセスにおいて既存建物の活用を求める傾向が強まっています。本計画についてもテナント退去後に既存建物の構造調査等を実施、設計に反映し、既存躯体量の約52%に相当する地下躯体を再活用することで、建築に伴うCO2排出を削減するとともに、解体する部分についても可能な限り資材をリサイクルします。また、竣工後の建物においても、再生可能エネルギーの利用や、熱負荷軽減や省エネに寄与する内外装設備の採用により、運用フェーズにおいてもサステナビリティに配慮した取り組みを行います。今後「BREEAM」(Excellent以上)、「EPC A rating」、「WELL」(Gold以上)の各認証を取得予定です。

【眺望を活かした屋外スペースや多様なアメニティの整備及び、まちの賑わいへの貢献】

 英国ではオフィスにおける外部空間が重要視されており、本物件においても各フロアにテナント専用テラスを設けることでウェストミンスター寺院を臨む眺望を最大限に活かします。また、ジムやタウンホール、シャワー・ロッカースペースといったテナント共用のアメニティスペースを下層階に設置し、従業員のWell-being向上に寄与します。

 また、本計画は外周に設置されたフェンス等により非常に閉鎖的で外観デザインも周辺の歴史的建築物との調和が取れていなかった既存建物を、前面道路のビクトリアストリート沿いに店舗区画を設置するとともにウェストミンスター寺院に面する一角に広場上の空地を設け、周辺の景観に配慮した建物デザインとすることで、建物を街に開放し、街の賑わいに寄与します。

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【マップ】  

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■三菱地所の欧州における事業について

 1985年の「Atlas House」の取得を皮切りに欧州事業進出(1986年現地事務設立)以降、英国・ロンドンに所在するセント・ポール大聖堂に隣接する大規模開発「Paternoster Square開発計画」(2003年竣工)をはじめ、本物件を含む多様な開発案件を手掛けています。近年、英国・ロンドンにおいて、シティでの大規模オフィス再開発「8 Bishopsgate」(2023年竣工)、賃貸住宅「The Lark」(2022年竣工)および「The Blossoms」(2024年竣工)、物流施設「Bromley」にも参画しています。欧州大陸にも進出しており、欧州で初となるオフィス開発「dMoura 1」(2023年竣工)をスペイン・バルセロナで手掛けたほか、スウェーデン・ストックホルムでは大規模オフィス改修「Grace」(2024年竣工)等に取り組んでいます。

 なお、三菱地所グループの海外事業における投資戦略は、先進国(米国、欧州、豪州等)へは積極投資、新興国(アジア中心)は投資効率を優先した分散投資を方針に掲げています。欧州については、引き続きマーケットに適した事業を積極的に展開し、今後も更なる成長に向けた取り組みを進めてまいります。

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(三菱地所グループの欧州における事業実績)                               

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(関連リリース)                               

以 上

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