オフィスビル設計・監理
「ウッドデザイン賞2024」 三菱地所グループ全体で3件受賞
三菱地所グループの三菱地所ホーム株式会社、株式会社メック・デザイン・インターナショナル、株式会社三菱地所設計、三菱地所株式会社は、ウッドデザイン賞2024において、「江北小路」「丸の内北口ビルディング 丸北ラウンジ」「Marunouchi Bloomway」の3件で受賞しました。
「ウッドデザイン賞」は、木を使って様々な社会課題を解決するモノ・コトを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度です。建築・空間、技術・建材、プロダクツ、コミュニケーション、調査・研究の5分野と、生活者視点、消費者視点から見た木の良さ・価値を表す3つの部門から構成されています。
三菱地所グループでは、CLTをはじめとした国産木材の活用を推進しています。今後とも、国産木材の活用により、国内林業の活性化や山林防災、ひいては地方創生等に貢献していきたいと考えています。
■受賞の概要
【江北小路】(建築・空間分野)
株式会社スタジオ・クハラ・ヤギ(東京都)、公益財団法人東京都都市づくり公社(東京都)、三菱地所ホーム株式会社(東京都)
<概要>
「江北小路(こうほくこうじ)」は、東京都による都市防災の取組みの一環である「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」(木密地域から、コミュニティを維持しつつ移転を促すため、移転者向けの魅力ある共同住宅を整備する事業)プロポーザルで採択されたプロジェクト。
足立区にある都有地に準耐火構造木造3階建て建築物を計画し、2、3階には多世代向け住戸16戸を、1階にはコミュニティ形成に寄与するようなテナントスペースを整備した。特に1階は自由度が高く汎用性のある空間に最適な木造新構法Flat Mass Timber構法(三菱地所ホームが2019年に開発した集成材厚板パネルと鉄骨によるハイブリッド構法、特許取得)を採用し、2、3階では在来軸組工法にCLTパネルのスラブを組み合わせることで従来の木造工法では難しかった大空間を実現した。共用部や周囲の外部空間と連続した中庭の「小路(こうじ)」は、地域住民との交流を促す空間となっている。外壁は、東京都多摩産のスギ材を使用することで木造住宅が密集していた同地域に温かく親しみある表情を提供し、魅力ある拠点のシンボルとなっている。
【丸の内北口ビルディング 丸北ラウンジ】(建築・空間分野)
株式会社メック・デザイン・インターナショナル(東京都)、三菱地所株式会社(東京都)、株式会社ストローグ(富山県)
<概要>
「丸北ラウンジ」は、築20年の賃貸オフィスビルである丸の内北口ビルディングのロビー空間に新設されたワークラウンジ。ビル内に入居する約50のテナント企業ワーカーのためにつくられた。通常であれば利用者の利便性を考慮してビルの中間層に設置することの多い共用ワークラウンジだが、あえてロビー空間に設置した。そこで、日本建築の「縁側」から着想を得て、ロビー空間の既存ガラスファサードに沿ったプランニングとして、木質フレームによってラウンジ内のセキュリティを確保しながら、視覚的に内外の一体感を確保することで街に溶け込む空間とした。
働き方の多様化が進む中で既存の賃貸オフィスビルが備えるべき付加価値やアメニティにも変化が求められる時代。併設するカフェは内外双方からアクセス可能とし、また待合用のベンチや週ごとに入れ替わる盆栽のディスプレイを空間に組み込むなど、視覚・造形・機能の3つの側面におけるラウンジ内外の一体感をつくりだした。
また、都心のオフィスビル共用部には珍しく、木材がラウンジ内外からふんだんに見える設計。その狙いとして、ビルのワーカーや来訪者に対し、リラックス効果を与え自然とのつながりを感じさせる効果をもたらしている。「和」を感じるデザインコンセプトとした背景にはビルの持つ歴史の継承等が挙げられるが、入居テナントである京都市東京事務所とのコラボレーションにより照明器具や工芸品を空間に組み込むことで、より一層、木造の温かみを引き立てている。
【Marunouchi Bloomway】(建築・空間分野)
株式会社三菱地所設計(東京都)、三菱地所株式会社(東京都)、そら植物園(大阪府)、三物建設株式会社(神奈川県)
<概要>
「Marunouchi Bloomway」は、東京駅前で丸の内仲通りと接する三菱ビル・丸の内二丁目ビルの外構と1階通路に、国産木材を用いた大規模な花壇を設置するプロジェクト。5月はカーネーション、6月はアジサイ、7月は笹など、日本の四季を感じることのできる草花を月替わりで取り入れることで、オフィス街の通路が徐々に滞在空間へと変化している。丸の内仲通りを、通り沿いの建物内にまで「拡張」することを図り、憩いの場や回遊性を生む空間づくりを通して、エリア全体の魅力を高める。各月の植物はワーカーや来街者に配布し、参加型のまちづくりにも貢献している。
この花壇は、長さ1mの規格木材を、可動性を確保したまま可能な限り金具を使わずに組み立てる構造で、人の手による組み換えやサイズの伸縮ができる可変性の高い設計。ビルの多様な使われ方に応じて共用部のレイアウトを自由に変更でき、また、屋外花壇には古来より風呂桶にも用いられる椹(さわら)を採用することで、長期間の利用を企図した。
オフィス街に四季をもたらす社会実験として、価値創造の成果を継続してモニタリングしている。
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