コーポレートガバナンス強化に向けた取り組み

コーポレートガバナンス強化に向けた取り組み

当社では、経営の最重要課題の一つとしてコーポレートガバナンス体制の整備・推進を位置付け、継続的な取り組みを実施しております。

コーポレートガバナンスの変遷

当社は経営の最重要課題の一つとしてコーポレートガバナンス体制の整備・推進を位置付けています。
 2016年に指名委員会等設置会社へ移行してからは、「経営監督と業務執行それぞれの役割明確化と機能強化を図るとともに、株主をはじめとするステークホルダーに対する説明責任を果たすべく、経営の透明性及び客観性の担保に努めること」を基本的な考え方とし、社会情勢及び企業を取り巻く経営環境の変化、ステークホルダーの要請等を踏まえ、コーポレートガバナンス体制の改善を着実に推進してきました。

2024年3月期は、ガバナンス体制の拡充を企図し、取締役会構成に関し執行兼務の取締役を1名減員(取締役数:15名→14名)し、取締役会に占める社外取締役構成比率を向上(47%→50%)させたほか、数年に一度実施することとしている取締役会の第三者評価を行い、取締役会の実効性等について検証を実施しました。
  また、「長期経営計画 2030」で掲げる資本政策の一環として、資本効率及び株主価値向上を図るため、約1,000億円の自己株式取得(2023年3月期決議済み)を完了しました。更にダイバーシティの拡充を企図し、国連が策定した女性のエンパワーメント原則(WEPs)に賛同し、同原則に基づき行動するためのステートメントに署名を行いました。

これまでのコーポレートガバナンス体制の変遷の概要については以下の通りです。

コーポレートガバナンスの変遷

取締役会の実効性評価

取締役会実効性評価を行う目的

取締役会は、中長期的な企業価値向上の実現及びコーポレートガバナンスの向上に、取締役会が監督機能を通じて有効に機能しているか確認することを目的に、年に1回、各取締役による評価に基づき、取締役会全体の実効性についての分析・評価を行い、その結果の概要を開示するとともに、必要に応じ実効性を向上させるための施策を策定・実施することとしています。

取締役会の目指す役割にむけたこれまでの取組み

当社は2016年6月に指名委員会等設置会社に移行し、経営監督と業務執行それぞれの役割明確化と機能強化の観点から、取締役会の主たる役割を経営の基本方針及び重要な業務執行の決定、並びに取締役及び執行役の職務執行の監督としています。これまでも、毎年の実効性評価の分析結果を踏まえ、議題の精査を行い経営計画に関する議論を充実するとともに、執行役からの報告機会・内容の充実、社外取締役に対する情報提供の充実などを行い、役割を適切に果たすための取り組みを実施してきました。

2021年3月期からは、2020年1月に策定公表した「長期経営計画 2030」を踏まえ、長期的な視点で株主価値・社会価値向上に向けた経営を適切にモニタリングしていく観点から、従来の評価項目に加え、今後充実すべき取り組み等に関する項目を追加しました。なお、質問票の作成、回答結果の分析、課題の共有等各フェーズにおいて第三者評価機関の助言を得ております。実施した取締役会の実効性評価のプロセス及び結果の概要は、以下の通りです。

1評価のプロセス

(1) 評価の手法

取締役会及び指名・ 監査・ 報酬の各委員会の構成・ 運営・ 実効性などに関する質問票に回答する形で、すべての取締役が自己評価を行い、その結果を踏まえ、取締役会において課題の共有、対応策の検討などを行いました。

評価の手法
Step1
全取締役を対象にアンケートを実施
Step2
取締役会において結果を踏まえて議論
Step3
決定に基づき取り組み開始

(2) 評価の項目

「長期経営計画 2030」を踏まえた評価項目として、取締役会の構成として「モニタリング・経営監督機能を発揮するためのダイバーシティ」を、取締役会の実効性、取締役会の運営として「モニタリングのために今後議論を充実すべきテーマや、執行役からの業務執行状況報告の在り方」を確認しています。なお、質問票の設問には、適切性及び改善余地を測るための「現状の満足度を問う質問」と、「より良くするための方向性を問う質問」があり、今年度の実効性評価においては、当社の大枠の方針を具現化するための方向性を探る目的で、「より良くするための方向性を問う質問」を増設しています。

取締役会の
役割・構成
取締役会・議長の役割、社外取締役比率、人数規模、多様性、スキル
取締役会の
実効性
経営計画、業務執行(業務リスク含む)、内部統制リスク管理、サステナビリティ、株主・投資家との対話及び情報開示、指名・監査・報酬の各委員会の運営等
取締役会の
運営
開催方法、開催頻度・所要時間、執行役の業務執行状況報告、取締役会以外での情報提供、質疑応答、トレーニング等
その他 取締役会の実効性評価の手法等

2評価の結果と今後の対応

(評価の結果)

取締役会は「有効に機能している」と評価しました。

(分析結果)

各取締役による実効性評価の質問票では、事業環境変化に対するモニタリングの手法や議論の質の更なる向上に向けた課題感への指摘が増加したものの、過半の項目について「適切である」との回答が高い割合を占めました。
分析や課題の抽出、対応策の検討にあたっては、第三者機関による分析結果や課題に関する助言等も参考にし、各評価項目における取締役からの課題への提言及び指摘を踏まえ、取締役会において議論を実施しました。特に、長期経営計画の適切なモニタリングを行うために、執行役の業務執行状況に関わる報告の内容や、モニタリング強度を高めるべきテーマ、説明時間と審議時間のバランスなどについて、高い課題意識が見られました。

(1) 前回の評価から改善した主な事項

2023年3月期実効性評価における、更なる実効性向上に向けた主な課題と今後の対応

  • 地政学リスクや物価変動等、経営環境の変化に対応した経営戦略の実行状況の監督を深化すべく、モニタリングの拡充等を継続検討すること。
  • 社外取締役の事業理解促進のため、コロナ禍においては実施できなかった事業現場視察等を実施し、経営環境の変化に対応した執行状況を確認する機会を増加させること。
  • 取締役会の更なる実効性向上に向けた取締役会の構成と多様性について継続検討すること。
矢印

2024年3月期の対応

  • 取締役会の更なる透明性と実効性向上を企図し、社内取締役が過半数であった役員比率を、社内と社外が半数ずつとなるように執行兼務の社内取締役の減員を行ったこと。
  • 社外取締役の事業理解促進のため、コロナ禍においては実施できなかった事業現場視察を増加させ、経営環境の変化に対応した執行状況を確認する機会を増加させたこと。

(2) 更なる実効性向上に向けた主な課題と今後の対応

取締役会における検討・議論の結果、以下の点が確認されました。

  • 地政学リスクや物価変動等、経営環境の変化に対応した経営戦略の実行状況の監督を深化すべく、社外取締役の更なる知見活用を可能にする情報提供方法、モニタリングの手法、取締役会で議論すべき論点等について、現状の改善に向けて、改めて検討・整理すること。
  • 取締役会の更なる実効性向上に向けた取締役会の構成と多様性について継続検討すること。