その他
TNFD提言に基づく自然関連情報を公開
~緑地面積の倍増をはじめ、丸の内エリアで進むネイチャーポジティブなまちづくり~
三菱地所グループ(以下、当社グループ)はこのほど、TNFD※1(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言で提示された情報開示フレームワークに基づき、当社グループにおける自然・生物多様性分野に関する情報を開示しました。
当社グループはサステナビリティ重要テーマのひとつに「環境負荷低減に尽力し続ける」を掲げ、それに関わるマテリアリティ(重要課題)のひとつとして、生物多様性を特定しています。TNFDの提言を踏まえ、事業活動の自然への依存・インパクトを評価しそれにより生じるリスク・機会を特定する取り組みを進め、今後も自然と調和した魅力あふれるまちづくりを推進してまいります。※1 TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース(The Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)。自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するために設立された国際的組織。自然環境への影響・依存、それによって生じるリスク・機会を企業や金融機関が適切に評価・開示するためのフレームワーク(ガバナンス、戦略、リスク・インパクト管理、測定指標・ターゲット)を策定している。
本開示の第一弾として、当社グループが135年にわたりまちづくりを進めてきた大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアを優先地域に特定し、同エリアを対象に分析・評価を行いました。
開発による緑化推進の可視化等の分析の結果、大丸有エリアの緑地面積割合が1975年比で概ね倍増しているなど、これまでのまちづくりが生態系や生物多様性にポジティブなインパクトをもたらしていることが示唆されました。また、このような豊かな緑の確保は、生物多様性だけでなく、ヒートアイランド現象の緩和、CO₂吸収、雨水貯留による浸水リスク低減等に寄与するとともに、人と自然が調和したネイチャーポジティブなまちづくりによるエリアの価値やテナントからの評価向上、自然を活用したまちの賑わいの創出や新規事業の開発など、ビジネス上の機会獲得につながると考えています。 当社グループは、TNFDのフレームワークにより事業における自然関連課題の認識を深め、他のエリアも含め地球環境に配慮した魅力あふれるまちづくりを通じて、真に価値ある社会の実現に貢献します。
※TNFD提言に基づく情報開示について、詳細は以下をご確認ください。
https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tnfd/
■TNFD提言に基づく自然関連情報の概要
開示資料においては、TNFDのフレームワークを踏まえ、下表の内容で自然関連情報を公開しました。
本開示に伴い、「戦略」についてはTNFDのLEAPアプローチ(自然関連課題である依存やインパクト、リスクや機会を検討するための任意アプローチ)を参考に、当社グループの事業・バリューチェーンにおける主な自然関連課題を検討しました。本アプローチに基づき、検討を行う中で、大丸有エリアを優先地域と特定、同エリアを対象に分析・評価を行っています。
以下では、その「優先地域である『大丸有エリア』におけるインパクト評価」と「依存・インパクト、リスク・機会に対する対応・取り組み」を紹介します。
■優先地域である「大丸有エリア」におけるインパクト評価
都心でありながらも皇居や日比谷公園の豊かな緑環境や、お濠や日本橋川の潤いある水景等、水と緑に囲まれた豊かな自然環境に隣接しています。積極的な緑化を進めることで皇居をはじめとした周辺とつながりある連続的で緑豊かな都市景観の形成を図るとともに、アメニティの向上や生物多様性の保全など、緑の質を高める視点を重視しています。このような大丸有エリアの特性を踏まえ、当社グループが進めてきたまちづくりが、エリアの自然環境にどのような影響を与えてきたのかについて、以下の通り分析しました。
□大丸有エリアの緑地面積割合の推移
大丸有エリアおよび千代田区の商業地域(永田町・霞が関地区除く)の緑地面積割合は、ともに2000年代半ば以降に増加していますが、丸ビルの建て替え以降再開発が進む大丸有エリアは千代田区商業地域よりも高い伸びを示しており、1975年と比較して緑地面積割合が概ね倍増しています。※株式会社シンク・ネイチャーによる調査。1975年~2024年の間の26年分・30枚の空中写真(国土地理院)を取得のうえ、機械学習により空中写真上の各エリアを緑地(樹木)・草地・影・その他の4つに分類し、GIS(地理情報システム)により、大丸有エリア全体に占める緑地の合計面積の割合を推計。
□大丸有エリアのエコロジカルネットワーク
当社グループの保有物件の緑地がある場合・ない場合とで周辺の緑地との接続性を評価した結果、当社グループ保有物件が皇居を中心としたみどりのネットワーク・接続性の強化に貢献し、ポジティブなインパクトを与えていることが評価されました。大丸有エリアは東京都でも有数の生物多様性の宝庫である皇居と近接していることから、周辺地域の生物多様性を維持・向上させるためには、皇居を中心としたエコロジカルネットワークを強化することが重要となります。※生物多様性に配慮したみどりの質の向上のための手引とエコロジカル・ネットワークマップ」(2022年、東京都)に基づき、Sentinel-2衛星画像により算出した緑被とエコッツェリア協会が調査した大丸有エリアの樹木の枝張りデータを活用し調査。
□生物多様性再生効果・捕捉率
大丸有エリアでの植栽による再生効果・捕捉率を分析した結果、皇居を中心とした周辺地域の生物多様性、生態系に対し、当社グループが保有する物件の樹木の植栽がポジティブなインパクトを与えていることが評価されました。※株式会社シンク・ネイチャーによる調査。現地調査で整備している樹木情報(植栽樹木・本数)を基に、同社の有する生物分布データを踏まえ、樹木・鳥類・チョウ類それぞれについて算定を実施。
※再生効果:各物件の植栽樹種・本数に基づき、周辺(1kmのマス目内)に生息する樹木・鳥類・チョウ類の種数・個体数を、その植栽前後でどれだけ増減させたかの割合を算出した指標。
捕捉率:各物件の植栽樹種に基づき、周辺(5km圏内)の樹木種のうち何割の種を植えているか、またその植栽により、周辺に生息する鳥類・チョウ類のうち何割の種を呼び込めるかを示した指標。
評価の結果、再開発により大丸有エリアの緑地面積割合が概ね倍増していること、当社グループの緑地整備によって皇居を中心とした緑のつながりが強化されていること、植栽計画により生物多様性の再生効果・捕捉率の向上が進んでいること等が分かりました。旧丸の内ビル建て替え以降20年を超える再開発を通じ、エリア単位で皇居などの周辺の自然に配慮した緑化・植栽を取り入れてきたことで、生態系や生物多様性にポジティブなインパクトをもたらしていることが示唆されています。
■大丸有エリアにおける自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に対する対応・取り組み
大丸有エリアは、皇居や日比谷公園に隣接し豊かな自然環境と共存する都心のビジネス拠点です。当社グループはまちづくりを進める本エリアの開発および運営において、多様なステークホルダーと連携しながら、まち全体で積極的な緑化やエコロジカルネットワークの強化に取り組んできました。これらの取り組みは、大丸有エリアの自然環境が劣化することによる様々な生態系サービスの損失のリスクを低減するとともに、人と自然が調和したネイチャーポジティブなまちづくりによるエリアの価値やテナントからの評価向上、自然を活用したまちの賑わいの創出や新規事業の開発など、ビジネス上の機会獲得につながると考えています。
<主な取り組み>
□大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドライン/緑環境デザインマニュアルに基づいたまちづくりの推進
□生物多様性に配慮した緑地づくりと活用~自然共生サイト・TSUNAG認定の取得~
□皇居外苑濠における水辺環境改善・生態系保全 「濠プロジェクト」
□生物モニタリングの実施
□丸の内ハニープロジェクトの推進
□エコッツェリア協会(一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会)との連携
■大丸有エリア以外での自然関連の依存・インパクト、リスク・機会に対する対応・取り組み
三菱地所が代表企業として開発を進めている「グラングリーン大阪」は「"Osaka MIDORI LIFE"の創造」~「みどり」と「イノベーション」の融合~を計画コンセプトに掲げ、約4.5haの面積を誇る都市公園「うめきた公園」を中心に緑豊かな環境を整備。街区全体で約320種(うち在来種270種)・1,600本以上の高木を配置することで周辺の樹林率を12%まで増加させ、エリアのエコロジカルネットワークの形成および拡大に寄与します。2024年9月の先行まちびらき以降、大阪府レッドリスト2014・環境省レッドリスト2020に指定されているコサメビタキの飛来を確認してもいます。
こうした取り組みにより、グラングリーン大阪は「ABINC ADVANCE認証」を取得する等、複数の評価を受けております。
※本プロジェクトにおける環境価値評価の詳細は以下のリリースを参照ください。
https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/07/17_mec240717_ggo_sustainability
https://www.nikken.jp/ja/news/press_release/2024_07_17.html 当社グループではこのほか、三菱地所レジデンスで2015年より、すべての「ザ・パークハウス」において、地域に馴染みのある樹種や環境にやさしい維持管理手法を取り入れた造園緑化計画「BIO NET INITIATIVE」を実施しています。導入物件は200件を超えており、例えば首都圏において多くの「ザ・パークハウス」が立地する番町エリアは、大丸有エリアと同様に、都市の緑地をつなぐことで生態系の連続性を確保し、皇居を核としたエコロジカルネットワークの一端を担っていると考えられます。各物件に多様な樹種の導入や緑化を推進することで生息する生物の種類が増加し、エコロジカルネットワークの拠点としての役割を果たすなど、ネイチャーポジティブへの貢献が示されています。
また、大丸有エリアを含む都心の水源である利根川の源流部に位置する群馬県みなかみ町で、三菱地所は2023年2月、みなかみ町、公益財団法人日本自然保護協会と10年間の連携協定を締結し、「みなかみネイチャーポジティブプロジェクト」を開始しました。ネイチャーポジティブの実現を目指すとともに、取り組みを通してNbS(Nature-based Solutions:自然に根ざした解決策)を実践しながら、生物多様性保全の定量評価にも挑戦します。
※参考リリース
BIO NET INITIATIVE :https://www.mec.co.jp/group_news/detail/2023/09/28_bio_net_initiative_24
みなかみ町(定量評価):https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/07/08_mec240708_naturepositive
■【参考】三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050 ~Be the Ecosystem Engineers
当社グループは、「長期経営計画2030」において、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪での経営を実践しています。2024年5月には、長計Reviewとあわせて、社会価値向上戦略における4つのサステナビリティ重要テーマについて、当社グループ事業との相関性を明確化するため、まち・サービス、地球環境、人の尊重、価値の創造に関わる「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」を定めています。今後も、社会価値の向上、および事業を通じた持続可能な社会の実現をめざした取り組みを推進してまいります。
■【参考】過去発表の関連情報
<リリース>
・大手町・丸の内・有楽町地区における良質な緑地の維持管理計画がTSUNAG初回認定を取得
~エリアマネジメント団体と連携した初の複数緑地での認定取得~
URL:https://www.mec.co.jp/news/mec250318_tsunagomy/250318_OMY.pdf
・グラングリーン大阪における良質な緑地の整備・マネジメント計画がTSUNAG最高評価「トリプル・スター」を取得
~日本を先導する緑地開発プロジェクトとして、まちづくりGXに貢献~
URL:https://www.mec.co.jp/news/mec250318_tsunagggo/250318_GGO.pdf
<情報開示>
・三菱地所グループ サステナビリティレポート2024
URL:https://mec.disclosure.site/j/sustainability/report/
・三菱地所 統合報告書2024
URL:https://www.mec.co.jp/assets/img/annual/integratedreport2024j_p.pdf
以上
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