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   【三菱地所レジデンス】生物多様性保全再生への取り組み「BIO(ビオ) NET(ネット) INITIATIVE(イニシアチブ)」 ネイチャー・ポジティブ効果は非導入物件の2.4倍

「BIO NET INITIATIVE」による都市の生物多様性の再生効果を検証

三菱地所レジデンス株式会社(以下、三菱地所レジデンス)は、2015年2月より、新築分譲マンション「ザ・パークハウス」の緑化に地域になじみのある樹種の採用や環境にやさしい維持管理手法を取り入れた「BIO NET INITIATIVE(ビオ ネット イニシアチブ)」(以下、ビオ ネット イニシアチブ)を「ネイチャー・ポジティブ」の概念が確立される前より生物多様性保全の先進的な取り組みとして導入。生物多様性保全を進め、既に導入物件は200物件を超えております。

この度、株式会社シンク・ネイチャーの生物多様性ビックデータ分析、さらに住友林業緑化株式会社のサポートにより、ビオ ネット イニシアチブの生物多様性の再生効果について定量的な検証を行い、ネイチャー・ボジティブ効果が示されましたのでお知らせいたします。

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結果として、ザ・パークハウス建設地は生物多様性保全を行うことで得られる効果が高く、ビオ ネット イニシアチブの取り組みによる多種類の樹種や本数の増加が功を奏し、生物多様性再生効果(近隣にいなかった生き物が増える)があることが確認できました。この結果は、ビオ ネット イニシアチブ導入物件のマンション緑化が「ネイチャー・ポジティブ」に寄与できていることを示しています。

 マンションでの緑化は都市緑地の確保には欠かせないものとなっており、この効能は生物多様性を回復する「ネイチャー・ポジティブ」のみならず、都市で暮らす人々に憩いの空間をもたらす「ウェルビーイング」やヒートアイランド現象への「影響緩和に役立つ」と、私たちは考えており、今後もビオ ネット イニシアチブの導入を継続するとともに地域全体での効果検証などを通じ、さらなる知見を蓄積し、生物多様性の回復・ウェルビーイング・気候変動対策に配慮した持続可能なモノづくりを推進してまいります。

■ビオ ネット イニシアチブとは                                

 ビオ ネット イニシアチブは三菱地所レジデンスがマンションの緑化に関する方針を定めるもので、樹木や生き物に精通した協業先と連携して、開発したマンションが生き物飛来の中継地となり、地域に「緑のネットワーク(エコロジカルネットワーク)」を広げることを目的にしています。「5つのできること」を掲げ、地域の生態系への影響を考慮し侵略的外来種を採用せず、地域になじみのある樹木(在来種)を使うことや環境にやさしい維持管理基準などの独自基準を設け、規模にかかわらず標準採用しています。分譲マンションのザ・パークハウスでは2015年から採用を始め、2022年からは賃貸マンションにも採用を広げ、累計では200棟以上の採用実績があります。2015年度グッドデザイン賞受賞。

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■ビオ ネット イニシアチブの生物多様性の再生効果の検証について               

【検証内容】

(1)当社が手掛けた200件の建設地の生物多様性保全優先度の評価

  所在している場所(1kmメッシュレベル)の生物多様性保全優先度を確認

(2)植栽による生物多様性の再生(ネイチャー・ポジティブ)効果

  モデル物件(12件)の植栽データ(種類、本数)を活用し、植栽したことでどのくらい効果(捕捉率・

  再生効果)があるのかを定量化

(3)ビオ ネット イニシアチブ導入物件(12件)と非導入物件(6件)との比較による再生(ネイチャー・ポジティブ)効果の検証 ※当社物件による比較

 ・植栽データから種類・本数の比較

 ・植栽による生物多様性の向上(捕捉率・再生効果)の比較

※捕捉率:生き物が安全に生きていく場所の提供度合いを示す       

※再生効果:エリア周辺に生息していなかったその地域に根ざす鳥や蝶を増やす

【検証結果】

1200件の建設地の生物多様性保全優先度の評価

 三菱地所レジデンスが手掛けた都市部の建設地200件において、生物多様性保全の優先度(かけがえなさの尺度)を評価したところ、ほぼ全ての建設地が優先度の高い場所に位置しているため、当該エリアで生物多様性保全に取り組む意義があることが分かりました。また、この建設地は都市化により生物多様性が損失しつつある地域であることから、ビオ ネット イニシアチブによる緑化は生物多様性の再生、保全実効性が期待できる場所と言えます。

※かけがえなさの尺度:シンクネイチャーが作成した生物種を推定した生物多様性地図から、生物分布を可視化し、生物種の豊かさ、希少性分布、生物の進化的固有性、絶滅危惧生物や有用生物の分布から保全の優先度を見える化したもの

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2植栽による生物多様性の再生効果

 ビオ ネット イニシアチブの植栽は外来種が少なく、反対に地域在来種(都道府県在来種)が占める割合が極めて高くなっており(50%以上)、生き物が好む環境となっています。シンク・ネイチャー社の分析によると本来の環境に生息する鳥や蝶の20%以上が飛来してきていることが裏付けられました。また、生き物が利用可能な樹種を新たに植栽したことで、今まで生息していなかった鳥や蝶が新たに再生する可能性も確認されており、エコロジカルネットワークの形成、生物多様性の回復について効果が期待できると結論付けられました。

3ビオ ネット イニシアチブ導入物件(12件)と非導入物件(6件)との比較による再生効果の検証

植栽の種類や本数が多い

 導入物件は、非導入物件よりも、平均値の単純比較では植栽本数で4.7倍、植栽種類が4.4倍となっており、ビオ ネット イニシアチブでは多くの多様な樹木を採用していることが示されています。

また、植栽本数100本当たりの植栽種類も2倍以上となっており、規模の多寡によらず多様な樹木を採用していることが解りました。

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生物種の捕捉効果が高い

 導入物件は、生き物が安全に生きていく場所の提供度合いを示す「生物種捕捉率(右図では捕捉率)」が非導入物件に比べ2.4倍になっており、その地域に棲んでいる生き物の多くが飛来し、新たなネットワークを形成していることが解ります。

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再生効果が高い

 導入物件では、生き物にとって利用できる樹種を植栽した結果、本来の環境に生息する鳥や蝶が好む環境へと変化しており、その効果から鳥や蝶の種数が増える「再生効果(ネイチャーポジティブ効果)」が非導入物件に比べ、2.4倍となっています。生物多様性の回復に寄与していることが解りました。

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【参考】「ネイチャー・ポジティブ」について                             

 「ネイチャー・ポジティブ」とは、生物多様性の毀損に歯止めをかけ、自然をプラスに増やしていくことを意味します。

 2021年10月に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の成果として「遅くとも2030年までに生物多様性の損失を反転させ、2050年までに自然を完全に回復させる」と、「ネイチャー・ポジティブ」の考え方が取り入れられた「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択されました。

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