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   国産材を活用した新しい床システム 「(仮称)WOOD FLOOR UNIT 3.2」を開発

三菱地所株式会社は、MEC Industry株式会社、株式会社乃村工藝社、三洋工業株式会社、株式会社リンレイ、丸山金属工業株式会社と共同で国産木材を活用した新建材「(仮称)WOOD FLOOR UNIT 3.2(以下、本製品)」(特許出願中)を開発し、今後、グループ会社であるMEC Industry 株式会社において製造・販売していくことをお知らせいたします。
第一弾として、三菱地所が新丸ビルにて運営するイノベーション施設の一部に敷設しました。
2.png本製品はCLT※1を活用したフリーアクセスフロア※2であり、床一面に美しい木目が広がる高い意匠性、CLTが持つ高い強度を活かした機能性、木材が持つ炭素固定効果により地球温暖化防止にも繋がる環境貢献機能を有した「新建材」です。

【「(仮称)WOOD FLOOR UNIT 3.2」の特長】
(1)不燃処理をせずCLTを「現す」
(2)木の良さ(香り、手触り)を残し、汚れを防止する特殊コーティング
(3)仕上がり面に金物が見えない意匠性と簡単施工を実現した接合部
(4)高い炭素固定効果で地球環境に貢献


従来のフリーアクセスフロアは、スチールでできたパネルの上にカーペット等を敷くことが一般的ですが、本製品では、CLTパネルの木目を仕上げ材とすることでカーペット等を無くし、天然の木材を現しとすることを標準仕様とした製品です。

本製品を通じて国産木材を使用することで、森林による炭素固定、水源涵養機能、災害防止機能等の維持・向上に繋がり、国内森林の好循環を生み出すことで SDGsの達成や社会課題の解決にも貢献してまいります。

 

■本製品開発の背景
三菱地所グループでは、国産木材の活用を推進していく中で、日本国内においては防耐火規制から構造利用したCLTを現しにすることが難しく、木材本来の魅力を建物の利用者にお伝えできないこと、またコストの面においても天然の木材を活用した内装は特注品対応となるケースが多く、規格化された流通品が少ないことからコスト高になってしまうことを課題だと考えておりました。
そこで国内外において不動産開発を手掛ける三菱地所のノウハウを活かし、国産木材を活用した気軽に使える規格型の新建材を開発することで市場が抱える課題を解決し得るものと考えました。デザインや施工性、コーティング剤や接合金物等、開発に必要な要素にノウハウがある様々な企業とチームを組み、「地球によいもの、みんなでつくる、使う。」をコンセプトに本製品を開発いたしました。
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■本製品の特長                                         
【不燃処理をせずCLTを「現す」】
内装制限による制約を受けないため、不燃処理が不要です。CLTを空間の意匠として現すことが可能です。

【木の良さ(香り、手触り)を残し、汚れを防止する特殊コーティング】
木の質感を活かしながらもメンテナンスしやすいコーティング剤を採用しました。木目や手触り、さらには豊かな香りなど、空間全体を木の自然な空気感で満たします。
4.png【仕上がり面に金物が見えない意匠性と簡単施工を実現した接合部】
カーペットは貼りません。パネル自体が仕上材としても機能するように、表面に金物が見えない特殊な接合部でS造・RC造、新築工事・改修工事問わず簡単施工を実現します。

【高い炭素固定効果で地球環境に貢献】
本製品を100㎡使用した場合、約3.2tの炭素固定(CO2換算)効果が期待されます。(林野庁:企業による森林づくり・木材利用の二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」ガイドラインより算出)

 

■本製品の概要                                        
・仕様部材 :CLT(南九州産スギが主な原料)
・材料規格(パネルサイズ) ホックコネクト式:497㎜×497㎜×厚み36㎜
              サイド篏合式  :497㎜×497㎜×厚み54㎜
・パネル重量  ホックコネクト式:約4.0kg/枚
        サイド篏合式  :約6.0kg/枚
・耐荷重  ホックコネクト式:約2,500N
      サイド篏合式  :約5,000N
・仕上げ  :専用コーティング剤を塗布
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■各社の役割                                         
三菱地所株式会社   /製品の企画立案
MEC Industry株式会社/材料の製造・加工、販売
株式会社乃村工藝社  /デザイン監修・施工監修、製品開発全般のアドバイス
三洋工業株式会社   /支持脚製造、施工性検証
株式会社リンレイ   /天然木専用コーティング剤の開発・性能維持に関わるメンテナンス監修
丸山金属工業株式会社 /仕上げ面に出ない特殊接合金物の開発

【参考】共同開発企業について
MEC Industry株式会社
所  在:鹿児島県姶良郡湧水町木場3102
代 表 者:小野 英雄
創  立:2020年1月24日
業務内容:建材材料の仕入、製造及び販売等

株式会社乃村工藝社
所  在:東京都港区台場2丁目3番4号
代 表 者:奥本 清孝
創  業:1892年3月15日
業務内容:空間創造における、調査・企画・コンサルティング、デザイン・設計、制作・施工 ならびに運営・管理

三洋工業株式会社
所  在:東京都墨田区太平2丁目9番4号
代 表 者:山岸 茂
創  立:1948年10月25日
業務内容:金属建材及び建築材料の製造販売
内装材、外装材、空調、換気装置の製造販売及び工事請負

株式会社リンレイ
所  在:東京都中央区銀座4丁目10番13号
代 表 者:鈴木 信也
創  立:1944年9月25日
業務内容:業務用、家庭用、自動車用、工業用ワックス、高機能コーティング剤及び洗剤等の衛生管理製品の研究開発、製造、販売、輸出並びに業務用清掃機器の製造、販売

丸山金属工業株式会社
所  在:千葉県船橋市海神町南1丁目1475番地
代 表 者:河上達夫
創  立:1909年12月1日
業務内容:金属スナップボタン、樹脂成形品、切削品の製造、販売



【参考】三菱地所グループの木造木質建築への取り組み
三菱地所は2016年頃から国内の潤沢な資源である森林に着目し、木材が持つ高い炭素固定効果を活かすことによる気候変動への対応や、木材の活用により「切る→使う→植える→切る...」といった国内森林の循環再生、森林の持つ土砂崩れ等災害防止機能の維持・向上などに寄与することで、社会課題の解決に貢献するべく、国産木材を活用した建築物を多く手掛けてまいりました。
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また2020年に設立したMEC Industryにおいては、南九州産の杉を中心に、一般的に効率的な製材が困難な「大径材※3」を積極的に活用し、森林の循環促進と林業の発展を目指し事業を展開しております。
三菱地所グループでは今後も、国産木材が有する意匠性・機能性・環境貢献機能を活かした、新しい製品を開発し、MEC Industryでの製造・販売を通じて、地球環境及び林業の発展に貢献していきます。

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【注釈】
※1 CLT:Cross Laminated Timber の略で、木の板の層を各層で互いに直交するように積層接着した大判パネルのこと
※2 フリーアクセスフロア:床下に電源や通信用の配線、さらに空調設備などの機器を収納することのできるフロア
※3大径材:一般的に末口直径(細い側の直径)が30cm以上の丸太のことを指す

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