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「ウッドデザイン賞 2023」 三菱地所グループ全体で4件受賞 MEC Industryの「MIデッキ」が 奨励賞(審査委員長賞)を受賞
三菱地所グループの株式会社三菱地所設計、MEC Industry株式会社、三菱地所ホーム株式会社は、ウッドデザイン賞2023において、「ENEОSマルチモビリティステーション」「MEC Industry 鹿児島湧水工場」「空間の木質化 KIGOCOCHI」「MIデッキ」の4件にて受賞、さらに「MIデッキ」が奨励賞(審査委員長賞)を受賞しました。
2019年「最優秀賞(農林水産大臣賞)」を受賞した「PARK WOOD 高森」、2020年「優秀賞(林野庁長官賞)」を受賞した「CLT PARK HARUMI」、2021年「優秀賞((林野庁長官賞))を受賞した「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」、2022年「最優秀賞(農林水産大臣賞)」を受賞した「MOKUWELL HOUSE」に引き続き、5年連続での上位賞受賞となりました。
「ウッドデザイン賞」は、木を使って様々な社会課題を解決するモノ・コトを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度です。建築・空間、技術・建材、プロダクツ、コミュニケーション、調査・研究の5分野と生活者視点、消費者視点から見た木の良さ・価値を表す3つの部門から構成されています。
三菱地所グループでは、CLTをはじめとした国産木材の活用を推進しています。今後とも、国産木材の活用により、国内林業の活性化や山林防災、ひいては地方創生等につなげていきたいと考えています。
■受賞の概要
【MIデッキ】(技術・建材分野) 奨励賞(審査委員長賞)
MEC Industry株式会社
<概要>
MIデッキはRC造・S造で使われる建材の一部を国産の「木」に置き換え、中高層建築で木質空間を安価で簡易に実現し、環境保全にも貢献する「新建材」です。
現行の日本における建築基準法では、大規模な木造建築を建築した場合、防耐火規制に適合するために、構造利用した木材を「現し」で活用することが難しく、木質空間の実現に大きなコストが必要です。木材を構造利用するのではなく、鉄筋トラス付き鋼製デッキと木(もく)が一体化された型枠にコンクリートを打設する型枠材と仕上材の機能を果たす兼用材として活用することで、大きなコストアップなく木質空間を実現できる製品です。また兼用材としての現し利用により天井下地及び天井仕上材が不要となることで、労務負担の軽減にも寄与します。
さらに、従来の天井仕上げと比べて天然木の温もりが感じられる空間を創出し、多くの人々がリラックスし、心地よいと感じられる木空間を実現します。当製品は、建築現場の大きな課題である労働力不足を解決しながら日本の中高層建築の木質化に寄与し、国産木材を活用して、建物自体の炭素固定も促すことで地球環境へも貢献します。
【ENEOSマルチモビリティステーション】(建築・空間分野)
株式会社三菱地所設計、ENEOSホールディングス株式会社、株式会社NIPPO
<概要>
ラストワンマイルと呼ばれる、自宅からバス停や最寄り駅までの距離、あるいは着いた場所から最終目的地までの少しの距離を補う、だれもが乗れる電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティのシェアサービス拡充を目的とした拠点施設です。キックボード/アシスト自転車/スクーター/小型自動車を一つ屋根の下に実装しました。
超高齢化が進む現代社会においては、今後、ワンマイルの移動手段が不十分であることによる買い物難民や高齢者の自動車事故といった課題が予想されます。それを物理的に解決する移動手段が"マイクロ"モビリティとなりますが、加えて、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラル実現の上ではこうしたモビリティの"電動化"もまた重要な取り組みの一つと言えます。こうした背景から、これからの社会に不可欠な"電動"で"マイクロ"な"乗り物"の普及のため、より多くの人々に関心を持ってもらい、しかも実際に利用することによって価値を体験できるショーケースとしてCLT造による拠点施設を整備しました。
建築デザインは、6×18mの矩形平面にCLT造(屋根・壁)、集成材軸組造、鉄骨造(梁)のハイブリッド構造による屋根/壁という切り分けのない覆いをかけたオープンな構成とし、内側は全て木現しとしています。CLTパネルには事業者が連携協定を締結している愛媛県久万高原町の町有林を活用し、CO2の吸収や削減への貢献とともに、森林由来のカーボンクレジットを創出する取り組みを推進、森林の循環利用を促しています。単純なかたちの中に多様さをあわせ持ち、国産杉で加工されたCLTが持つ自然豊かな表情によって、地域に向けたブランド構築やコミュニケーションの拠点として広く訴求力を持つことになりました。
【MEC Industry 鹿児島湧水工場】(建築・空間分野)
株式会社三菱地所設計、MEC Industry株式会社、大豊建設株式会社
<概要>
MEC Industry 鹿児島湧水工場は2022年に稼働を開始した木材加工工場です。人口約9,000人と過疎化が進む地域の廃校跡地を利用して建てられた当工場は、働く人の視点に立ちながら従来の工場のあり方を刷新・デザインしていくことで、地元の方々の雇用を生み、地域と共生する新しい工場のロールモデルとなることを目指しました。
木材産業において「木をどのように使うか」と「木をどのように生産するか」は両輪の関係にあります。本プロジェクトは木を生産する現場としての工場のあり方を見直し、働く人の視点に立ちながら働き方・服装・動線・空間を総合的にデザインすることで、地方の工場から木材産業全体を活気づけることを目的とした計画です。自分たちで扱う木材を実験的に多用しながら、従来の工場のイメージを刷新していくことで、産業の担い手でもある地元の人々が積極的に働きたいと思えるような工場を目指しました。
2×4材やCLTを構成する幅はぎ板など、自分たちの工場で扱う木材で建築を構成することにより建材の移動に伴うCO2の排出量を最小限にしつつ、更新が容易な計画としています。例として、ブリッジの手すりで使用する2×4材はブリッジの上から足場なしで交換できるように、また階段室の光を受け止めるルーバーは簡単に手で取り外しできるように計画されています。木材という非永続的な素材を前提に、建築を構成する部材の単位を「小さく」かつ「反復」して使用することで更新性を高めつつ、それが次の世代によって引き継がれるデザインとしています。
【空間の木質化 KIGOCOCHI】(建築・空間分野)
三菱地所ホーム株式会社
<概要>
KIGOCOCHIは、木を活かすことで、住まいの「居心地のよさ」を徹底的に追求した、三菱地所ホームによる空間の木質化提案です。第一弾として、三菱地所グループのリフォーム事業ブランド『三菱地所のリフォーム』において、マンション木質リフォーム商品を2023年10月に発売しました。本商品においては表面的に木を使用するだけではなく、家の中に「水回りのコア」「玄関・寝室のコア」「キッチン・家具・スタディスペースのコア」という3つの木の塊(コア)を機能的にレイアウトし、人間が木に囲まれたり、大木に寄りかかったりするときに得られる居心地のよさを再現することで、居住者向けに「木と共生する暮らし」を提案します。
近年、ウッドラミネートの発明により、あらゆる形状の製品に木の質感をまとわせることが可能になりました。しかし、その過程で木の複雑な素材感は大きく単純化され、木が本来持っているエネルギーや個性はほとんど失われてしまっています。KIGOCOCHIでは、木が持つ本来の生命力を取り戻すために、表面だけでなく、より深く、ボリューム感のあるデザイン手法に取り組んでいます。
主要部で採用されている国産材のヒノキは、見た目の美しさのみならず耐久性に優れ、湿度にも強い特性をもつ樹種として重用される一方で、内装材として使用する際の廃棄ロスが課題でした。そこでKIGOCOCHIは、構造用部材として使用されるヒノキ合板を内装の仕上材として活用。表面にあたる部分をヒノキ本来の美しい色や木目を維持するために厳選し、節の多い部分は隠れた層に活用するなどで大幅に廃棄ロスを減らしました。また、ドアノブや引手、脱衣所の床など、人が直接触れるポイントに木を積極的に配置。暮らしの随所で木が感じられ、使い込むほどに愛着が増していきます。
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