東京・丸の内と東北・宮城のシェフたちが宮城県の生産者、水産加工会社と絆を育み作り上げてきた「はらくっつい TOHOKU」缶詰プロジェクト。いよいよ3rd シリーズがスタートします。
食のブランディングを通して被災地の復興を支援する「Rebirth 東北フードプロジェクト」の第6弾として2014年に始まったこのシリーズ、これまで64000個が製造され、現在も好評発売中です。2015年には「フード・アクション・ニッポン アワード」優秀賞を受賞。そして震災から5年目を迎え、取り組むテーマも復興支援から地方創生へとシフトしました。3rd シリーズのチャレンジ、それは地域の課題に共に向かい合い、価値を作り出すこと。3年に及ぶ取組みの経験と、地域での信頼をステップに、本格的なフレンチの缶詰が完成しました。
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左:石巻屋宗太カツオとトマトのうまみカレー 右:気仙沼産フカ肉入りオマール海老のビスク |
フランス料理は、魚ならば骨から頭まで、素材のすべてを生かす無駄のない合理的な料理。さらに異国の食文化や素材、調味料やスパイスを大胆に取り入れながら発展して来た料理です。
昨年9月、三陸の海を臨む石巻、気仙沼にフレンチのシェフが集い、目的に向けて一歩を踏み出しました。まずは、体系化されたフレンチの料理法から様々な手法を駆使して、さらに現地での出会いや発見がエッセンスとなり、レシピが練り上げられて行きました。
石巻港でサバの次に水揚げ量の多いカツオ、中でも小型の宗太カツオを使って美味しいカレーを作りたいというテーマにチャレンジしました。宗太カツオはマリネしてから蒸し、骨まで柔らかくなるよう加熱。酸味のおだやかな石巻産トマトのうま味をかけ合わせ、9つのスパイスで奥行きを出したルーには、山口シェフのアイデアで木の屋水産の看板商品「鯨の大和煮」のタレを加えました。スパイシーでマイルド、コクのあるカレーの完成です。
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昨年9月に竣工した石巻魚市場は最新の設備を誇ります。 |
水揚げを見学後、木の屋水産にて最初のミーティング。 |
フカヒレ生産量日本一の気仙沼。高タンパクで低脂肪、コラーゲンたっぷりのサメ肉(※1)は高級なはんぺんの材料となります。しかしそれだけではもったいない、知られざるサメ肉の美味しさにもっと光を当てたい! コルビ氏は魚介の出汁をベースにオマール海老のビスクを作り、繊細なサメ肉の味わいを引き立てようと思いつきました。サメ肉の切り身と団子は、試作を重ねながら加熱を工夫して柔らかく仕上げ、さらに看板商品のヒット商品「完熟オイスターソース」、豆乳クリームを加えてうま味とコクを深めました。通常の缶詰より2倍の手間をかけたリッチな味わい、銘品の誕生です。
※1 現地ではサメの肉のことを「フカ肉」と呼び、主にモウカザメ、ヨシキリザメの肉を指す。
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サメ肉を下ろすコルビ氏、初めてとは思えない見事な手さばき。 |
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製造ラインを見学後、アイデアを出し合い。 |
(文・Kanako Teshigawara)
<販売店>
日本の御馳走えん | 明治屋 丸ビルストアー | |
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル B1F | 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビルB1F | |
TEL 03-5224-3755 | TEL 03-3201-6611 | |
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明治屋 仙台一番町ストア | TSUKASA-YAパークタウンタピオ店(4/1~) | |
仙台市青葉区一番町3丁目2-17 B2F | 仙台市泉区寺岡6-5-1 泉パークタウンタピオ 北館1F | |
TEL 022-222-8111 | TEL 022-342-5373 | |
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<インターネット販売>
仙台名店ドットコム |
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山口 浩
イグレック丸の内 総料理長
僕自身21年前神戸で大震災を経験し、それが人生のターニングポイントになったため、このプロジェクトを委ねられた時は特別な思いを抱きました。宗太カツオは初めて使う素材でしたが、この缶詰には素材をかけ合わせて味を創造するフレンチの手法が生かされています。カツオという動物性のうま味に、トマトという植物性のうま味をかけ合わせることにより、「ウママイズ」(うま味の増幅現象)を起こし、さらに木の屋さんのヒット商品「鯨の大和煮」のタレを隠し味に使うことで味に奥行きを持たせています。カツオの素材感と味のバランスを楽しんで欲しいです。この缶詰には石巻の素晴らしい自然が詰まっています。ぜひ保存食として身近に置いて、1年経ったら「無事に暮らせてよかったね。」と、ひと手間加えて家族で美味しいカレーを楽しんでいただきたいです。
ドミニク コルビ
フレンチ割烹 ドミニク・コルビ オーナーシェフ
震災以降18回東北に通っていますが、今回初めて気仙沼の漁港を訪れて驚いたのは、サメです。サメが山盛りになってましたから(笑)。フカヒレだけでなく、サメは使うところがたくさんあるタンパク源なのだと気づきました。しかしフレンチでは使わない素材ですから、なかなか厳しいテーマでした。結局完成まで4ヶ月かかりました。ひとつヒントになったのは、フランスの伝統料理「カワマスのクネル」、つまりすり身にした川魚の団子です。味の面では、気仙沼の魚介で出汁を取り、オマール海老を使ったこと、そして製造現場見学中に、偶然作っているところを通りかかり味見をさせていただいた、石渡商店さんのオイスターソースを使ったことが成功のポイントです。最後は塩をちょっと加えるだけで味まとまりましたから。とても美味しい缶詰に仕上がりました。ぜひ召し上がってください。
佐々木 現人
ビストロ アンセルクル オーナーシェフ
仙台在住の自分にとっては、よく知っている地元の食材、特にまるごと食べる機会は少ない宗太カツオを味わっていただくチャンスと思い、とてもやりがいを感じたプロジェクトでした。以前から尊敬していた山口シェフからも、素材の組み合わせなど、多くの刺激を頂きました。カツオの柔らかさ、トマトの凝縮感、シンプルな素材を生かして、味わい深いすばらしいカレーが完成しました。
佐藤 克彦
フレンチレストラン・プレジール オーナーシェフ
「Rebirth 東北フードプロジェクト」を機会に、仙台には震災以前にはなかったフレンチのシェフの絆ができました。今回コルビシェフのサポート役として気仙沼を初めて訪問し、その自然の豊かさ、海の素晴らしさ、そしてサメがたくさん獲れることに大変驚きました。いろいろ試行錯誤しましたが、サメ肉も柔らかく美味しく仕上がって満足しています。
木村 長努
株式会社木の屋石巻水産 代表取締役社長
この取組みも今年で3回目になりますが、毎回シェフたちが缶詰作りの既成概念を壊してくれる、私たちにとってはチャレンジの場です。今回は地元の農家さんにご協力いただき、一番美味しい時期にトマトをピューレにしてもらいました。石巻の海と山の特産品を合わせて一つの缶詰にすることで、石巻全体が注目され、まだ知られていない石巻産食材の素晴らしさを知っていただく機会になると期待しています。
石渡 久師
株式会社石渡商店 専務取締役
この取組みも今年で3回目となり、参加シェフたちのおかげで弊社の缶詰加工の技術も向上しています。今年はサメ肉というハードルが高い食材でしたが、隠し味にオイスターソースを使って頂いたことで全体の味が一つにまとまりました。東北と東京のシェフに応援してもらったプロジェクト、この3年間は多くのことを学ぶ有意義な機会となりました。
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec111006.pdf
仙台にて、丸の内シェフズクラブのシェフと東北エリアのシェフが、料理セミナーと「東北食のビュッフェ」を開催。東北エリアの食材を使用した新メニューを開発、提供し、流通・飲食店関係者等参加者間交流を深めました。
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec120119.pdf
「はらくっつい宮城食堂」を、期間限定で丸ビル1階「丸の内カフェ ease」にオープン。第1弾で開発したメニューの一部を、ランチメニューとして提供し、レシピも公開。宮城県の食材の首都圏への流通促進等、消費活動にもつなげました。
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec_120305.pdf
「シェフの絆」をテーマに、仙台にて、丸の内シェフズクラブのシェフ4名と東北エリアのシェフ11 名の計15名のシェフが、シェフ同士でパートナーを組み、共同で宮城県食材を活かしたメニューを開発。当日のメニューは、後日冊子としてレシピを公開し、県内飲食店を中心にお客様に提供されることを通じて、県内産食材の利用機会を促し、地産地消の推進に努めました。
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec1210718_1.pdf
「生産者と丸の内就業者・来街者をつなぐ」をテーマに、丸ビル1階「マルキューブ」にて、マルシェを開催。東北食材の魅力の発信・食ブランドの再生に貢献しました。
https://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec130227_Hisaichiweek.pdf
当社が事業サポートを行うミュージックセキュリティーズ社の組成する東北地域の食生産者らを支援する「セキュリテ被災地応援ファンド」へ直接出資。併せて、「厳選10 社の旨い食材が揃いました。被災地応援ウィークス」として、支援先である生産者の食材を用いたメニューを、新丸ビル7階「丸の内ハウス」の各店、丸ビル1 階「丸の内カフェ ease」にて提供。「丸の内ハウス」では、一般消費者に直接生産者の実情を語りかける一般参加型イベントや被災地の写真展示も開催し、商品の購入や現地への旅等につながるようファン作りのきっかけの場を提供しました。
https://www.mec.co.jp/j/sustainability/rebirth/index_006.html
石巻と気仙沼のブランド食材を使用したオリジナル缶詰(山椒香る金華さばとムール貝とたっぷり野菜のお椀【石巻】、とろとろさんまとフカヒレとゆずの味噌煮【気仙沼】)2商品を開発。2014年3月6日より販売開始。併せて丸の内カフェease等で複数のイベントを開催。
https://www.mec.co.jp/j/sustainability/rebirth/index_007.html
石巻と気仙沼の新たなブランド食材を使用したオリジナル缶詰(石巻産銀鮭のクリームスープ仕立て~ゆずの香り~【石巻】、気仙沼産メカジキの地中海風煮込み【気仙沼】)2商品を開発。2015年3月5日より販売開始。併せて丸の内カフェease等で複数のイベントを開催。
<本件に関するお問い合わせ先>
三菱地所株式会社 広報部 03-3287-5200
食育丸の内「シェフズランチ企画」×「Rebirth 東北フードプロジェクト」
\いきなり、んめっ!/ 『はらくっつい 宮城食堂』 丸ビルに期間限定オープン (PDF 282KB)
三菱地所グループの被災地復興支援活動『Rebirth 東北フードプロジェクト』第4弾 宮城の食生産者らによるマルシェ「はらくっつい宮城市場」開催 (PDF 327KB)
三菱地所のRebirth 東北フードプロジェクト第5弾東北地域の食生産者らを支援する被災地支援ファンドへ出資東京・丸の内にて「被災地応援ウィークス」を開催 (PDF 529KB)