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TOP COMMITMENT

「地球を想う力」を高め、
新たな価値を創造するまちづくりで
サステナブルな社会の実現に貢献します。

三菱地所株式会社 執行役社長

吉田 淳一

新型コロナウイルス感染症への対応を変革の契機に

2020年から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症は、経済や人々の暮らし・価値観を揺るがし、企業が解決すべき課題にも大きな変化が生じました。
そうした中、三菱地所グループでは2050年を見据えた未来像「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」(以下、2050ビジョン)を制定し、ビジョン実現のための「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」を「長期経営計画2030」においてスタートさせています。
これらのビジョンや目標はパンデミックの直前のタイミングで発表したもので、現在のような世界的な感染拡大の状況を踏まえて策定したものではありません。しかし、2050ビジョンや長期経営計画は、当社グループが今後目指していく普遍的な方向性を明確にしたものであり、感染拡大を受けても変わるものではありません。2030年、そして2050年に向けて、「まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現に貢献していく」。それが、私たちが常に取り組むべきことだと考えています。

新型コロナウイルス感染症は、社会に大きな被害をもたらした一方、AI・ロボティクスによるデジタル革新を加速させ、テレワークやサテライトオフィスなど新たな働き方も生み出しました。三菱地所グループとしても、コロナ禍を変革の契機と捉え、しっかりと対応していかなければなりません。特に当社グループの基幹事業であるオフィス賃貸事業においては、より多様化する働き方にどう応えていくかが問われます。今後、各企業ではリアルなコミュニケーションの充実、優秀な人財の獲得、外部とのコラボレーションなどのため、オフィスのあるべき姿の模索が進むと思われます。従来の当たり前が通用せず、正解がない中で、私たちはテナント企業の皆さまとコミュニケーションを深め、それぞれのニーズに合った「空間づくり」を一緒に考えていく必要があります。さらには、建物単体としての「空間」だけではなく、新しい出会いや情報に触れる機会の創出など、エリアとしての価値や魅力を高めることも、テナントから選ばれ続けるためには重要な要素になると考えています。

人を主役にしたまちづくりを推進

街は、その土地の歴史や伝統、文化を背負っており、時代とともに変化・発展しています。建物をつくれば街ができるわけではなく、その街に暮らし、働き、憩い、遊ぶ人々によって街の価値が作られていくのです。主役となるのはいつも人です。多くの人に長く愛され、そこに集う人の心を豊かにしていくようなまちをつくり出していくことが我々の使命であると考えています。

三菱地所グループのまちづくりは、1890年、明治政府から三菱が丸の内の払い下げを受けたことに始まります。その後、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)は日本の発展とともに日本を代表するビジネス街へと成長しました。1998年からは「世界で最もインタラクションが活発なまち」をコンセプトに、ビジネスに特化した効率的なオフィス街から休日も賑わう多様性のあるまちへの転換を目指す「丸の内再構築」に取り組み、グローバル都市・東京の国際競争力向上への貢献に取り組んできました。

私たちは、2020年以降の丸の内エリアのまちづくりを「丸の内NEXTステージ」と位置づけ、『丸の内Reデザイン=人・企業が集まり交わることで新たな「価値」を生み出す舞台づくり』をスタートさせています。丸の内エリアにはすでに多くのコミュニティが形成されていますし、街全体がさまざまな実証実験の場にもなっています。新たなビジネスの創出やイノベーションが期待できるこのエリアにおいて、私たちは、多くの企業や個人、行政機関等と連携し、様々なムーブメントを起こす主体として関わることで、街の新たな価値を創造していきたいと思っています。
現在、東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区で関係権利者の方々とともに当社が開発を進める「TOKYO TORCH」(2027年度全体街区完成予定) は、そうした取り組みのシンボルとして、プロジェクトビジョン「日本を明るく、元気にする」を掲げ、「日本・東京に来たら必ず立ち寄りたい」「あそこに行くといつも新しい出会いや発見がある」と多くの方に思っていただける場づくりを目指しています。

2050ビジョンのもと、SDGsへの貢献を深める

「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」 は、三菱地所グループの2050年におけるありたい姿や、社会の中でのパーパス(存在意義)から「いま」を振り返ることで策定したものです。この中で私たちは「エコシステムエンジニアズ」として、多様な個人や企業が経済・環境・社会のすべての側面で持続的な共生関係を築いていく場と仕組み(エコシステム)の提供を宣言しています。
このビジョンの達成に向けて、長期経営計画において「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」を掲げ、「Environment」「Diversity & Inclusion」「Innovation」「Resilience」の4つの重要テーマごとに設定した目標とKPIに基づき、より幅広いステークホルダーに、より深い価値を提供していきます。

2050ビジョンの実現に向けた取り組みのひとつに、2020年に開始した「大丸有SDGs ACT5」があります。丸の内エリアを起点に、エリア内外の企業や個人が連携してSDGs達成に向けた多様な活動を推進するプロジェクトで、このエリアに社会課題解決型のコミュニティを形成することを目指しています。

私は、SDGsにしっかりと取り組むことはまちづくりの前提だと考えています。目標11「住み続けられるまちづくりを」との親和性が高いのはもちろんですが、それだけに留まるものではありません。まちづくりは人間の生活すべてに関わっており、食糧や水、ジェンダー、海や森の豊かさなどSDGsの17の目標につながらないものはありません。
私たちが扱うのは不動産という地球上の有限な資産です。その経済的・社会的価値はすべて地球からいただいているものであり、地球環境に配慮しないまちづくりは成立しません。三菱地所グループは「人を、想う力。街を、想う力。」をブランドスローガンに掲げますが、加えて「地球を、想う力。」が求められているのだと実感します。
SDGsは、人類一人ひとりが「地球人として果たすべき責任」への認識を促すものだと考えています。

サプライチェーン全体に目を向け、環境や人権課題に対応

環境課題については近年、脱炭素に向けた取り組みがグローバル社会において極めて重要視され、日本でも政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言して以降、さまざまな動きが進んでいます。当社グループにおいてもCO2排出量の削減目標(2019年4月:SBTi認定済)や、再生可能エネルギー由来の電力使用割合目標(2020年1月:RE100加盟済)の達成に向けて、引き続き取り組みを推進していきます。2021年度中には丸の内エリアを中心にオフィスビル19棟の専用部分を含む全電力を再生可能エネルギー由来とし、続く2022年度には丸の内エリアで所有するビルの電力をすべて再エネ由来とする予定です。その他エリアについても、再エネ電力の導入を積極的に進めていきます。

まちづくりにおいては、エネルギー分野だけにとらわれず、より幅広く環境を考えていくことも欠かせません。自然資本や生物多様性への配慮やサーキュラーエコノミーの推進なども重要です。身近な樹木や生物など自然に目を向けることは、人間の心を豊かにします。そうしたきっかけや仕組みを提供し、環境を思いやる心を育てるまちづくりを目指します。

また、サステナブルな社会の実現には「人権の尊重」も大切な要素です。あらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重するため、2018年度には「三菱地所グループ人権方針」を制定し、人権デュー・デリジェンスを実施しました。
2020年度からは、オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネルについて、持続可能性に配慮した調達コード※にある木材(認証材・国産材)の使用を進めています。この取り組みは、認証材もしくは国産材を用いることで、産出国の先住民からの土地収奪や違法伐採がないよう、トレーサビリティを確保するものです。調達コストが増えても、人権や環境という課題に正面から向き合うことは、長期的には企業価値を向上させるものと考えています。これは型枠コンクリートパネルに限った話ではありませんので、今後、さらに踏み込んでサプライチェーン上の取り組みを強化していかなければなりません。
海外での事業展開ではさまざまな課題に直面しますので、各エリアの特性を意識しながら対応していく必要があります。2021年2月には、ミャンマーのクーデターという大きな出来事もありました。現地で事業を行う企業として状況を注視し、民意に寄り添っていきたいと思っています。

  • 持続可能性に関わる各分野の国際的な合意や行動規範等を参考に、持続可能性に配慮した調達を行うための基準や運用方法等について定めたもの。

多様性を活かし、すべての従業員の活躍を促す

2050ビジョンや長期経営計画を実行していくのは、三菱地所グループの一人ひとりの人財です。全ての従業員がその能力を活かして働き、イノベーション創出につながる就業環境を整えるのは私たち経営陣の役割です。
三菱地所では、2019年度に新たに許可制の副業制度の運用を始めたほか、感染拡大への対応をきっかけに、オンライン・オフラインを組み合わせたシームレスな働き方を大幅に拡大しました。

制度の充実は年々進んでいますが、今後に向けて当社がサステナブルな会社であるためには、働き方に関してさらに高いフレキシビリティが求められると考えます。例えば、専門性を活かし、ダブルワーク、さらにはトリプルワークで働く人がいてもよいでしょう。三菱地所グループという枠を超えて、幅広いフィールドで働くことで自己実現していく人にとっても、働きやすく魅力ある職場を目指さなければなりません。さまざまなバックグラウンドを持った従業員の多様性を真に理解して受け入れ、活躍できる環境を整えることも重要です。
サステナビリティへの意識は、若い世代で総じて高い傾向にあるのを頼もしく感じています。地球環境の悪化により頻発する災害や先行き不透明な経済の中で成長し、社会人となった世代は、社会課題をより自分事として捉えています。従来の価値観を押し付けることなく、そうした人々が幸せや生活の充実感を得ながら働くための施策を考えていかなければなりません。

三菱地所グループが脈々と受け継ぐのは、「100年先を見据えながら、日々新しい挑戦を続けていく」というDNAです。社会の大きな変化の中で、私たちはあらためてこの原点に立ち返り、総力を結集した進化を遂げていきます。ブランドスローガンに掲げる「人を、想う力。街を、想う力。」、そして「地球を、想う力。」を高め、新たな価値を創造するまちづくりにより、さらなる企業価値向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。