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メッセージ

サステナビリティ担当役員・
社外取締役メッセージ

サステナビリティ
担当役員メッセージ

三菱地所株式会社 執行役専務

有森 鉄治

社会が直面する課題と向き合い、解決に貢献する

気候変動に代表される環境課題、人権等の社会課題に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大という新たな課題も発生し、社会の持続可能性に対する危機感がこれまでになく高まっています。そのような状況下で、企業にとってサステナブルなビジネスモデルへの転換は、まさに不可欠な企業価値向上戦略であると考えます。
気候変動に関しては、日本政府が2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言、さらには本年4月の気候変動サミットに併せて2030年における温室効果ガス削減目標の引き上げが表明されました。本年11月にはCOP26が開催され、国際的な政策協調やルール形成に向けた議論の進展が加速することが予想されます。
欧州グリーンディールや日本の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が掲げるように、経済回復と環境の好循環を促進し、持続可能な社会を実現するためには、企業が持続可能性に貢献していくことが期待されています。今や、社会価値の向上に取り組むことなくして企業価値向上は果たせなくなっています。

2050年に目指す姿の実現に向けて

三菱地所グループは、2050年に目指すべき姿として「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050~ Be the Ecosystem Engineers」を制定し、このビジョンを達成するためのマイルストーンとして、「長期経営計画2030」において「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」(以下「2030年目標」)を策定しています。「長期経営計画2030」においては、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略を両輪に据えた経営を実践することで当社グループの基本使命と持続的成長を実現することを目指しています。事業を通じた価値提供の視点には「サステナビリティ~時代が抱える社会課題への解決策の提供~」を掲げ、2018年度に特定した7つのマテリアリティを踏まえた2030年目標として4つの重要テーマ「Environment」「Diversity & Inclusion」「Innovation」「Resilience」においてKPIとアクションプランを定めました。

グループ全体のサステナビリティ関連の目標等は、サステナビリティ統括責任者である私のもと、サステナビリティ推進部が企画・立案を行い、三菱地所の執行役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」での審議・報告を経て策定しています。また、「2030年目標」の達成に向け、2020年度より、組織・機能グループごとに定める年次計画の中に、4つの重要テーマに関連した単年度目標およびアクションプランを盛り込む運用としています。この年次計画における目標は、サステナビリティ委員会においても、PDCAサイクルを回してマネジメントしており、その達成状況は、役員報酬に関する定性評価項目の一つとして位置づけられています。

三菱地所グループのSDGs2030における取り組み

4つの重要テーマのうち「Environment」に関しては、CO2排出削減目標(2019年4月SBTi認定済)や再エネ電力比率向上目標(2020年1月RE100加盟済)等を設定して鋭意取り組みを進めています。三菱地所においては、2021年3月に「エネルギーまちづくりアクション2050」を策定し、同年4月には関連する具体施策を検討するスマートエネルギーデザイン部を社内に設置しました。また、本年度より、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)のオフィスビルを中心に19棟でテナント専用部を含む全電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、これにより、再エネ電力比率は約30%となる見込みです。2022年度には、丸の内エリアにおける三菱地所保有のすべてのビルについて再エネ電力とし、その他エリアのビルについても再エネ電力を積極的に導入していく予定です。また、地域循環型の再生可能エネルギー発電事業として、埼玉県東松山市でのバイオマス発電事業に新規参入します。本事業は、都市の廃棄物である街路樹や公園の樹木などから発生した剪定材を燃料として再利用し、年間約1,500万kWh(一般家庭で約4,800世帯分の電力に相当)を発電するもので、今後も全国各地でバイオマス発電事業を手掛けていく計画としています。
さらに、こうした具体の取り組みに加えて、TCFDの提言に基づく適切な情報開示を行うことで、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化に努めています。

「Diversity & Inclusion」に関しては、2021年3月に、障がいのある当事者の視点を活かしてユニバーサルデザインのソリューション提供を行う(株)ミライロと資本業務提携を実施しました。まちづくりを通じて、障がいのある方々やご家族を含めたあらゆる人々が、より安心・安全に生活できる社会の実現を目指していきます。
また、オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネルについて、2030年までに「持続可能性に配慮した調達コード」にある木材(認証材・国産材)と同等の木材の使用を100%にする取り組みを進めています。これは、NGO等から、型枠コンクリートパネルの材料の調達において、先住民の土地の収奪や環境破壊を含む違法伐採が含まれる可能性が指摘されていることから、人権および環境保護の観点からトレーサビリティを確保した持続可能な調達に取り組むものです。

「Innovation」に関しては、新事業案件の発掘や既存事業とのシナジー創出を目指してスタートアップ企業やベンチャーキャピタルに積極的に出資する他、インキュベーション施設の開発・運営、AI・ロボティクス等の最新テクノロジーの活用にも取り組んでいます。また、オープンイノベーションによる新事業を目指す「三菱地所アクセラレータープログラム」、三菱地所グループ社内における新事業提案制度など、ビジネスモデル革新の推進と新たな価値の創出にも継続的に取り組んでいます。

「Resilience」に関しては、大地震等の自然災害への備えをまちづくりの重要課題の一つと捉え、これまでも様々な取り組みを行ってきています。
東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区において関係権利者の方々とともに開発を進める「TOKYO TORCH」(2027年度全街区完成)では、街区中央に位置する大規模広場「TOKYO TORCH Park」(約7,000m²)にて、災害復旧活動の拠点機能を担うための各種設備(大型ビジョン、Wi-Fi環境等)を実装するほか、Torch Tower(B棟)に整備予定の大規模ホールを災害時の帰宅困難者の一時滞在施設等として活用することで、エリアの帰宅困難者支援機能を一層強化していきます。

多様なステークホルダーとともに価値を創造するまちづくりを推進

当社グループは、2050年の未来に向けて、「立場の異なるあらゆる主体(個人・企業他)が、経済・環境・社会の全ての面で、持続的に共生関係を構築できる場と仕組みを提供する企業(=Ecosystem Engineers)」となることを目指しています。
社員一人ひとりがEcosystem Engineerとして、多様なステークホルダーの結びつきによる新たな価値やイノベーションを創造し、持続可能な社会と基本使命の実現を目指していく上では、共通の価値観・行動基準を共有し、一丸となることが必要です。また、三菱地所グループのみならずサプライチェーン全体で取り組むことも不可欠という認識の下で、CSR調達ガイドラインの内容と運用の見直しに着手するなど、持続可能なサプライチェーンの構築にも取り組んでいます。
三菱地所グループは、2018年4月の「三菱地所グループ行動指針」改訂とあわせて「国連グローバル・コンパクト」に署名する等、国際的なイニシアティブの考え方に沿って持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。これからも、多様な社会課題の解決に向けてあらゆるステークホルダーの皆さまとの対話と協働に努め、社会のニーズや三菱地所グループへの要請と期待に本業を通じて応えていくことで、全てのステークホルダーへの価値提供の最大化、そしてさらなる企業価値の向上を目指してまいります。

  • (2021年9月末日公開)

社外取締役メッセージ

社外取締役

髙 巖

サステナビリティへの取り組みを加速させることで、社会課題の解決とイノベーションの創出を実現

三菱地所グループは「長期経営計画2030」において、社会価値向上を戦略の両輪の一つとして位置づけ、サステナビリティへの取り組みを加速させる姿勢を明確にしています。また、社会価値向上戦略の柱として、「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」を策定し、サステナブルな社会の実現に向けた4つの重要テーマを掲げています。

重要テーマのうち、「Environment」に関する内容としては、SBT・RE100の目標達成に向けた丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)での再エネ電力導入の取り組みに加えて、新たに街路樹の剪定枝を活用したバイオマス発電事業に参入しました。同時期に新規参入を公表した米国におけるデータセンター事業も含めて、時代の変化に伴い社会から必要とされる事業、かつ当社グループがこれまで培ってきたまちづくりのノウハウを活かせる領域だと感じています。今後も、このような既存事業・アセットの枠組みを超えた、社会課題解決型の事業の拡大(社会価値の向上)およびそれを通じた株主価値の向上に期待しています。

「Diversity & Inclusion」については、「Innovation」に繋がる好機であると捉えています。多様な考えを持つ人材が集まり議論することで、従来のビジネスモデルの枠組みを超えた柔軟な発想で、新たなビジネスが生まれ、当社グループの競争力が一層高まると考えています。外部からの人材獲得に加えて、一度当社グループを退職した社員が、外部の新たな知見やノウハウを習得した上で、当社グループと協働したり、復職したりすることで、更に幅広いビジネスが創出される可能性もあると思いますので、このような連携の機会も検討頂きたいです。
また、建物の原材料調達における人権への配慮は非常に重要なテーマです。私は、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会で持続可能性に配慮した調達コードの策定に携わっていましたが、当社グループでは、型枠コンクリートパネルで使う木材のトレーサビリティ強化を行う方針をいち早く打ち出し、取り組みを進めるなど、迅速な対応を進めていると敬服しています。難易度は高いですが、事業の非幹事・マイナー出資のケースでも、幹事企業に積極的に働きかけを行い、適切な対応を行うことも重要だと考えています。

「Innovation」については、当社は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX注目企業2021」に選出されていますが、AI導入による業務効率化など、既存業務の中での改善の余地は残されていると感じています。人への依存を減らすことは、過重労働などのリスク防止にもつながりますので、リスク管理の観点からも重要な取り組みだと考えます。また、「長期経営計画2030」において、BtoC/BtoBtoCに着目した新たなサービスやコンテンツの提供を掲げており、消費者視点の意識が高まっていますが、まちづくりを行う上では、非常に重要な観点だと思います。“人・企業が集まり交わることで新たな「価値」を生み出す舞台”を目指す姿として掲げている、2020年以降の丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)におけるまちづくり「丸の内NEXTステージ」は、その貴重なモデルをつくることになると考えます。

「Resilience」では、建物の設計面などのハード面での対策と、災害時の体制強化などのソフト面での対策に、いずれも高いレベルで取り組んでいると感じています。レジリエンスへの対応が不十分な場合は、資産価値が減少するリスクもあるため、取り組みを継続して頂きたいと思います。また、当社グループでは、充実した災害対応のマニュアルが整備されていますが、災害時の事細かな行動1つ1つをマニュアル化するのは難しく、現場の社員が有事の際に、迅速に行動を起こせるようなマインドを構築することが重要だと考えています。東日本大震災の際は、現場が迅速に判断を下したことで被害の低減を図ることができたと評価していますし、このような経験を通じて、社員一人ひとりに意識が根付いているように思います。

また、その他のESGに関するテーマについては、海外事業、特にアジア地域における、公務員等に対する接し方に留意が必要だと考えています。難しい課題ではありますが、ベストプラクティスの実践を目指して頂きたいと考えます。
2021年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードの内容などを踏まえると、海外のみならず国内においてもサステナビリティ対応への要請がより一層高まるものと思いますが、当社はTCFDの開示に一早く取り組むなど、開示面での対応も充実していますので、今後は、先述したような事業を通じた取り組みの推進に期待しています。

  • (2021年9月末日公開)