社外取締役メッセージ

海老原取締役

海老原取締役

2つの「改革」の実行により、「真の企業価値」の向上に取り組む

三菱地所グループは、「まちづくりを通じて社会に貢献します」という基本使命のもと、企業グループとしての成長と、様々なステークホルダーとの共生を高度にバランスさせる「真の企業価値向上」の実現に取り組んでおり、コーポレートガバナンス体制の整備・推進は、その実現に向けた経営の最重要課題だと捉えています。
私は取締役として、当社グループが100年後にも価値ある会社であり続けていることを目指しています。「価値ある」というのは、会社にとってのステークホルダー、すなわち社会、株主、従業員のすべてにとって重要な存在であるということです。そして、その実現のためには、2つの「改革」が必要であると考えています。
1つ目は「ガバナンス体制の改革」です。当社グループは総合デベロッパーとして、その業務範囲や担うべき使命、果たすべき責任の領域が拡大し続けています。その事業活動を支えるガバナンス体制は様々な機能や能力が求められます。私が社外取締役に就任した2015年以降、指名委員会等設置会社への移行や社外取締役の比率向上、すべての委員会の委員長を社外取締役で構成するなど、先進的なガバナンス改革に取り組んできました。また、私が委員長を務める報酬委員会においても、業績連動報酬を導入し、TSR順位を用いて株主との価値共有と適切なリスクテイクを促す報酬体系へと整備を進めています。これらの進化は、現在の当社グループにおける大きな強みになっています。
2つ目は「事業の改革」です。激変する市場環境で生き抜いていくためには、事業の内容自体を改革し、変化に柔軟に対応していくことが求められます。中長期的視点に立った経営戦略を構築し、自社の強みを磨き続けながら戦略に基づいた事業の改革を不断に実行していくことが必要不可欠です。

長期経営計画を推進し、当社グループらしい成長を実現する

前述の中長期的視点に立った経営戦略というのが、2020年3月までの前中期経営計画及び、その後継となる「長期経営計画 2030」(以下、長期経営計画)です。長期経営計画においては、これまでの中期経営計画の3年という期間が、当社の戦略を実現する上ではやや短いとの反省から、10年という長期のタイムスパンを見据えるものとしました。この10年という期間は、社会環境の激変をチャンスに変えて、引き続き、お客様や従業員など、あらゆるステークホルダーから支持され、三菱地所グループらしい形で成長を続けていくために、短期的な目標にとらわれることなく、長期にわたって施設やエリアの価値を高めていくという、私たちの事業モデルに、よりふさわしいものです。時間のかかる取り組みも多い中で、大胆な新しい分野の成長にチャレンジしていくという、当社グループの決意の表明となります。

企業価値の向上にはESGの強化が不可欠

政治や外交の世界でも、自己の伝統的な基盤を盤石にした上で、可能な限り新しい領域・分野に進出することが肝要であり、当社グループの事業戦略もそうあるべきだと考えています。当社グループは「丸の内」という伝統的な事業基盤を有しています。まずはこの「丸の内」をより強固な独自の事業エリアへと進化させ、その上で、新しい事業にも積極的に参入していくべきです。現在進行中の東京駅前常盤橋プロジェクトはこの考え方に沿った具体例であり、空港事業は新たな事業への積極的な参入を体現する事業となります。
また、長期経営計画は、株主価値の向上と社会価値の向上を両輪としています。これは、これからの社会で企業価値を高め成長していくためには、いわゆる「ESG」の取り組みを強化し、真に社会に求められる企業であり続ける必要があるとの認識に基づくものであります。その「G」に当たるガバナンスにおいては、より長期の視点、社会価値視点で企業価値向上を果たすために必要な経営判断や監督機能が必要となります。三菱地所は、この長期視点での成長にふさわしいガバナンス体制の構築に向け、絶えず進化し続ける必要があります。

100年後にも存在し続けるための礎を築く

長期経営計画では、アジアを中心とした海外事業の拡大を成長の柱の一つに掲げています。丸の内をはじめ、国内の様々なオフィスビルや住宅、商業施設を運営してきたノウハウを活かし、世界中のまちづくりに貢献していく考えです。一方、海外での開発事業を推進するためには、良い現地パートナーを見つけ、進出する国やエリアを深く理解し、適したビジネスモデルを追求していくことが欠かせません。当社グループには、既に現地パートナーと共同で事業を推進してきた実績がありますので、今後は、海外においても当社がプロジェクトを主導し、培ったノウハウを存分に発揮することを目指していきます。
ガバナンスの観点で言えば、国内においては先進的な体制の整備を一定程度進めることができたと自負していますが、事業エリアをよりグローバルに拡大していく今後においては、ガバナンスをグローバルスタンダードに対応したものへと進化させる必要性を感じています。
私は約40年間、外交官として国際問題に関わり、その間、米国や欧州、アジアに駐在しました。当社グループが次の10年、更に100年と存在し続ける企業グループであるために、そうした海外での経験や知見を最大限活かし、持続的な成長に貢献していきたいと考えています。
また、私はこれまで当社グループの社外取締役を5年勤め、本当に素晴らしい会社だと実感していますが、あえて注文を付けるならば、当社社員には「enough is the beginning(それでは満足できない)」と考える貪欲さを持って、事業の拡大に取り組んでほしいと思っています。

2020年9月

江上取締役

江上取締役

進化を遂げる実効性を伴ったガバナンス体制

2015年6月に私が社外取締役に就任してから現在に至るまでの約4年間の中で、当社のガバナンス体制は目覚ましく進化しているという認識を持っています。就任した当初は、コーポレートガバナンス・コードをはじめとする資本市場からの要請にどのように対応するかといった、受け身の姿勢での議論が展開される場面もあったように振り返ります。しかし、指名委員会等設置会社への移行等の検討プロセスを通じ、経営陣や取締役会事務局の取り組みに次第に変化が生じてきており、企業価値向上に資する先進的なガバナンス体制をいかに構築していくかという積極的な姿勢へと重心が移ってきました。
また、執行役への業務執行に係る権限移譲の大胆な推進と、譲渡制限付株式報酬、ファントムストックという執行役の新たな中長期業績連動報酬制度の導入は、経営陣の業務執行に対する姿勢がプロアクティブに変化する契機ともなったのではないでしょうか。
取締役会では、社内取締役・社外取締役の双方が発言しやすい雰囲気が議長を中心に意識的に確保されています。また、執行役への権限移譲の推進により社外取締役と執行役との距離が遠くなり過ぎないよう、事業説明会の開催や、現地視察の実施等、業務執行の状況を“見える化” する機会の拡充を進めています。このような取り組みは、指名委員会等設置会社としての機能、モニタリングモデルの実効性を高めるために極めて重要だと考えます。
一方で、当社では、ともすると社内の事情やこれまでの経緯を必要以上に重く捉えてしまい、社会全体や資本市場からの見え方が置き去りになった内向きな議論がなされることも、残念ながらまだゼロではないように思います。当社の経営陣が、常に高い視座から当社のあるべき方向を注意深く見定め、会社全体でオープンな議論を行っていくことがサステナブルな企業の骨格となります。私としても社外取締役の立場から、企業価値を向上させる先進的なガバナンス体制づくり、その企業文化の発展に貢献していきたいと考えています。

企業価値向上のカギとなる非財務情報の拡充

当社は、2007年より導入していた買収防衛策について、複数回の議論を経たのち、2019年5月の取締役会において非更新とすることを決定しました。この決定は、今後のガバナンス体制の更なる強化に向けた決意と、企業価値を持続的に向上させることで株主の期待に応えていくという覚悟の表れといえます。当社は日本のビジネスの中心地である丸の内の資産を有しており、そこにオフィスを構えるテナント企業、ひいては日本経済全体に対する大きな責任を負っています。現在、資本市場においては、政府系の年金基金等を中心に、過去の行き過ぎた短期投資の流れを是正し、社会的責任を果たすとともに持続的な成長を実現し得る企業への長期投資を促進しようとする動きが広がっています。これに対峙する企業は、投資家とビジョンを共有し、企業価値向上に向けた軸を据えている経営を実践していくことが求められています。
今日、投資家の判断基準の変化や投資家像の多様化が進み、企業の非財務情報の研究を通じて投資判断がなされる環境整備が進みつつあります。当社は近年、事業に関する情報発信を活発に行っていますが、今後は、投資家を意識した非財務情報を含む情報開示の一層の精緻化、拡充が必要であると考えています。

ビジネスモデル革新への期待

日本の人口減少が確実となる中、今後は従来のビジネスのみならず、サービス・ソフト面に重点を置いたビジネスを展開していくことは必須であり、当社が現在着手している新規ビジネスは、当社が有する優れた資産、卓越したノウハウ、技術力を活かしながら、既存事業を大きく育てる一方で、次世代型ビジネスコンセプトが生み出される可能性も有しています。例えば、当社は新本社のオフィスデザインにおいて、組織と仕事の質と方法論、働き方、職場文化とコミュニケーション等を革新する大胆な挑戦を行いましたが、それらの事業化等も次世代型モデルの芽かもしれません。
今後は都市部における働き方・暮らし方・生き方の構造変化が我々の想像以上のスピードで進んでいきます。当社は、それらを先見したまちづくりにも既に着手していますが、更にその先の未来に向け、先端科学サービス型研究開発、技術開発などへ挑戦していくことにも期待しています。

持続的成長はグループ全体の人財の関係性資本から

当社は事業の拡大に伴い、グループ会社の従業員の数が本社単体の約10倍となっており、本社の経営計画のもとに、ビジネスを実際に現場で形にしていく役割の多くの部分をグループ会社が担っています。これからは、従前にも増してグループ全体で従業員のモチベーション、達成感、成長感を高めるような制度設計が極めて枢要になってきます。
また、近年、社会環境の変化等の影響で、コミュニケーション行為に基づく問題が様々な組織で発生しており、知識、技術、能力の高度化に加え、「共感する力」の大切さが求められています。オープンな組織文化から育まれる「共感する力」は、リスク回避や関係性の強化にもつながります。まちづくりへの想いを共有するグループ全体で「共感する力」を醸成し、強い組織をつくることは重要な経営課題であると考えています。
私は、自身のキャリアを通じ、女性の能力発揮や登用の推進を大きなミッションとした人事制度の設計やその社会的啓発にも携わってきました。また、ビジネス誌の編集者として幾多の経営者にインタビューをし、様々な人事戦略や経営観を学び、複数の業界でイノベーションのプロジェクトも担ってきました。多様な経験を積んできたことは、当社の取締役及び指名委員・報酬委員としての活動に活きています。今後は、グループ会社全体の活性状況の観点も含め、当社の持続的成長、企業価値向上に向けての一助となるべく努めていきたいと考えています。

2019年8月

長瀬取締役

長瀬取締役

多様性・専門性を活かす取締役会の運営

コーポレートガバナンスにおいて重要な役割を担う取締役会のあるべき姿は、企業の特性やその時々の事業環境等によって異なります。現在の当社の取締役会については、全15名という規模、非執行の取締役会長を含む社内取締役8名、社外取締役7名という配分、社外取締役のそれぞれの専門分野と経歴、いずれの側面からもバランスが取れており、円滑に機能していると考えています。社外取締役7名がそれぞれ異なるバックグラウンドを持つことは、業務執行を監督する上での大きな利点です。大まかにいえば、ガバナンスに対して欧米流の考え方に近い志向を持っている取締役もいれば、日本的な経営手法の延長線上にあるものと捉える取締役もいます。視点やそれぞれの専門性が異なるからこそ、当社グループとしてのあるべき姿を多面的に検討することができ、偏りのない議論ができています。
私が取締役に就任して以降の取締役会においても、社外取締役が積極的に発言し、その反対意見によって上程された議案が修正されたり、採用されないケースもあります。今後も、更なる取締役会の実効性向上に向けて、当社グループの事業環境や業務に精通した社内取締役と、様々な知見を有する社外取締役とが、当社グループの進むべき方向性について、意見を戦わせ、深掘りした議論が行われるよう、私もその一端を担っていければと考えています。

実効性評価から導き出される具体的な改善のアクション

2017年3月期には、すべての取締役が参加して当社初の実効性評価を行いました。その結果、顕在化した課題である「株主・投資家との対話に関する報告機会を増やし、報告内容の充実を図る」という点については、IR(Investor Relations)、SR(Shareholder Relations)の両面から取締役会における報告の機会を増やし、報告のタイミングも株主・投資家との面談実施後、速やかに行われるようにしたため、当社グループに対する意見・要望についての情報量が格段に増えました。今後はそれらをどう経営に活かしていくか、ということに今まで以上に注力していく必要があると考えます。
また、もう一点の課題として挙げられていた「経営計画の策定に関する議論の機会・時間の増大」については、以前と比べ他の議題の精査を進め、議論の時間を優先的に確保することができつつありますが、2018年3月期の実効性評価においても引き続き改善の余地が指摘されており、長期的な視点で当社のビジョンを議論することを含め、プロセスの検討、及び取締役会として議論すべきテーマの精査等についても取り組んでいくべきと考えています。
こうした方向性が実効性評価を通じて明確になり、具体的な改善へのアクションにつながってきていることは、ガバナンス強化に向けたPDCAサイクルが機能している証左であろうと考えています。

現場の情報を重視する監査委員会の活動

私が委員を務める監査委員会は、取締役・執行役の職務執行の監査を担っており、その実効性を高めていくためには、社内取締役である委員の存在が欠かせません。監査を担うに適した経歴、人格を有する社内取締役が常勤の監査委員となり、内部監査室との連携を図りながら、社外取締役の委員と協同して現場への往査を含めた情報収集に努めています。監査委員会は、いかに現場の状況に精通し、必要な手を打っていくかが重要ですが、社内出身の常勤監査委員が委員長としてリーダーシップを発揮し、委員会の過半を占める社外取締役が客観的な視点を持って議論に参加する現状の体制は、非常に良いコンビネーションを生み出しており、実効性の観点から最適な体制が組まれていると認識しています。

リスクマネジメントへの能動的な取り組み

当社グループは東京・丸の内を中心に優良な資産を有していますが、外部環境の変化は絶え間なく、また、大規模地震等の自然災害の発生は防ぐことができません。その中で、いかに当社グループの事業を発展させていくか、資産配分の方向性も含めて、時間をかけて議論し、リスクマネジメントへの感度を更に高めていく必要があります。私自身も航空会社での経験を活かし、各現場におけるリスクの責任を経営陣が担っていることを再認識した上で、当社グループが重視すべきことは何であるのか、有事の際に適切・機敏な行動を取るために必要となる体制をいかにつくり上げるか、といった観点についても能動的に関わっていきたいと考えています。

ビジネスモデル革新への信念と覚悟

当社の中期経営計画で掲げた「ビジネスモデル革新」は、言葉にするのは簡単ですが、新たな取り組みを行い当社グループの成長の柱をつくるということは、並大抵の努力でなし得ることではありません。経営資源、特に人財を集中的に投入し、長期的な視野を持って育てていく覚悟を経営陣が持たない限り、それを実現する現場には浸透しません。代表的な実例として当社グループが注力して取り組んでいる空港運営事業は、地域社会・経済にとって重要な社会インフラである空港の運営という高い公共性を有する事業です。その意義を踏まえ、株主・投資家を含めた様々なステークホルダーの理解のもとで、当社グループがその力を示し、将来の成長の柱とするための経営陣の信念が問われています。
私自身も、社外取締役という立場から、当社グループの一員として、当社グループのプレゼンス向上の一翼を担うことに非常にやりがいを感じており、これまでの知見、経験を活かしてその職務に全力投球することによって、当社グループの中長期的かつ持続的な成長と企業価値の向上に貢献したいと考えています。

2018年8月

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