2018/06/11 綱川 明美 氏インバウンド観光におけるチャットボットの可能性 第2回 訪日観光客に多い「リクエスト」の傾向とは?

Bespoke Inc. ファウンダー&CEO

綱川 明美 氏

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業後、豪系投資銀行で機関投資家向け日本株営業、デロイトで国内大手金融機関の海外進出支援、フィデリティ投信で国内機関投資家向け金融商品開発などに従事。フリーランスでの海外企業の日本進出支援を経て、2015年にBespoke(ビースポーク)を設立。

リクエストの傾向

お客様からのリクエストで多いキーワードの1つが「デイトリップ」です。ホテルから日帰りで行ける場所に行きたいという希望が多くあります。外国人旅行者の皆さんは、だいたいJRパスを持っているので、電車での移動は問題ありません。都内の場合は、圧倒的に多いのが箱根、鎌倉、日光です。春は足利フラワーパークやひたちなか海浜公園なども人気ですね。京都なら、旅慣れていない人には大阪や奈良、慣れた人には琵琶湖を紹介したりします。

レストランの予約もリクエストが多い。これには2つのパターンがあり、1つはエリアや価格帯だけが決まっているパターンで、この場合は条件に合ったお店の候補を提示します。もう1つは行きたいお店が決まっているパターンです。この場合、希望のお店の予約が取れない時は代替案を提示します。

リクエストの傾向は、ホテルの価格帯やエリアによって変わります。例えば、一泊5〜6万円クラスのホテルの場合、ミシュランに掲載されているレストランの予約リクエストを多く受けます。ただし、そういうお店は当日ではまず予約が取れませんので、代わりに私たちが独断と偏見で、お薦めのお店を紹介しています。

ビーボットにお客様から寄せられるリクエストは、一日を通してコンスタントにあります。その中でもやや多くなるのが夕食の前後の時間帯です。お店を探していることもあれば、食べ終わって次に行く場所を探している場合もあります。また、予約したお店にたどり着けずに迷っているケースも多いですね。看板がないお店を予約すると、ほぼ見つかりませんから。

チャットが急増する時期は、12月の終わりと8月の後半です。12月の終わりは、営業しているお店が減ってしまうので、何となく遊びたいことは決まっているけど行き先が見つからない状況になり、「ああでもない、こうでもない」というやりとりが頻発します。8月は夏休みで長期滞在する人が多く、後半になるとやることがなくなってきます。そこでキーワードとして挙がってくるのが「ローカルスポット」です。有名な観光地には行ったから、地元の人が行くような場所に行ってみたいというわけです。そういう人たちは結構選り好みするので、情報を提供してもなかなか決まらず、やりとりが長くなる傾向があります。また、お子さん連れの方の場合、授乳室がないとだめだとか、お手洗いがたくさんあるところじゃないと難しいとか、キッズフレンドリーじゃないと嫌だとか、食事の制限があるとか、条件が多いために会話が長くなる傾向があります。

チャットボットならでの質問

チャットボットが相手だと、対面では聞かないようなことも聞いてきます。成田空港に導入した最初の月に最も多かった質問が「Where can I meet Japanese girls?」でした。そこで、このような質問が来たら、「インフォメーションカウンターの私の同僚に話しかけてみて、その後どうなったか教えて」と答えるよう自動化しました。

ホテルの場合に多いのが、「部屋に置いてある水は有料か無料か」「レイトチェックアウトは有料か無料か」といった質問です。電話をしてわざわざ聞くほどのことではありませんが、チャットボットだからこそ出てくる質問といえます。人に聞くほどでもない些細なことや、人に聞くのが恥ずかしいことは、よく聞かれます。

後者で特に印象に残っているのが、「部屋でポルノを見ていたら、画面がフリーズしてしまってしまったのでどうにかしてほしい」というリクエストです。さすがに自動では答えられなかったので、スタッフが「ちょっと待ってて」と答えて、ホテルのフロントに電話して、リセットの方法を聞きました。その方法をお客様にチャットで伝えたところ、自分ではリセットがうまくできないようでした。そこで、「夕飯の時間だし、ちょっと出かけたらいいと思う。その間に直しておくから、ごゆっくり」と伝えて、お客様が外出している間にフロントに連絡をして直してもらったことがありました。その後、リセットの方法はそのホテルの自動回答に組み込みました。人には言えない困りごとを解決することは、チャットコンシェルジュの大事な役割の1つです。

フィードバックの収集と活用

ビーボットを利用したお客様からのフィードバックも収集しています。フィードバックにはいくつかの方法があります。「いいね」「微妙」のようなボタンを用意したり、レスポンスのスピードを見たり、「What do you think?」みたいな感じで感想を聞いて、ポジティブだったかネガティブだったかを判断したりします。それから、実際に予約をしたかどうか。また、お店を利用した後に「どうだった?」と自動メッセージが流れるので、その回答も得られます。回答はポジティブなものが多いですね。

フィードバックの収集で大事なことは、お客様が気軽に回答しやすい質問にすること。フィードバックの収集で今のところ最も効果が出ているのが、空港でWi-Fiを接続した後に流れるメッセージの後に表示されるチャットでのアンケートです。質問の内容次第ですが、「What do you think of the airport?」という感じで聞くと、結構カジュアルな感じで答えが返ってきます。ただ、聞き方がまずいと、回答が得られない場合もあります。シンプルに「お土産買いましたか?」と聞くと、イエス・ノーで答えられるので返答率は高いですが、その次に「何を買いましたか?」と聞くと、回答率は下がります。気軽に答えられるような質問にしたり、ボタンをつけておいたりすることが大切ですね。

フィードバックの内容は、クライアントの要望に応じてシェアします。特に、頻度の高い問い合わせはクライアントも気にする傾向があります。例えば空港の場合、外国人旅行者は鉄道の駅が地下にあると思わないので、見つけられない人が結構多くて。フィードバックによってそのことがわかると、駅の場所を示す看板を増やしたり、より大きくしたりという改善につながります。空港もアンケートを行っていますが、チャットの方が気軽なので、本音が出てきやすく、そのためビーボットをアンケートツールとしても活用いただいています。

例えば、買い物でお客様から聞かれることの多い商品は何か。圧倒的に多いのはお菓子類です。なかでも多いのがロイズのチョコレート。その他、抹茶のキットカットや東京バナナなど。こうした情報は、テナントさんへのアドバイスに活用されています。問い合わせの多い食べ物の種類は、レストランの入れ替えをする時に活用されます。例えば「ラーメン屋さんを入れようと思ったけど、まだまだお寿司屋さんを増やした方がいけそうだ」といった判断材料となるのです。また、問い合わせの多い行き先は、空港内に掲示する行き先情報の順番の入れ替えなどに活かされています。

クレームに関しては、全てを真に受けてしまうと大変なことになるので、特定の時間に特定の場所で特定のクレームがたくさん寄せられているから本当のようだ、というような特定をしてクライアントにフィードバックしています。

SNS

公式SNSアカウント

TOKYO TOKIWABASHI 2027に関する最新情報は、
Marunouchi.comの
公式Twitter・公式Facebookページで発信しています。