2018/06/04 綱川 明美 氏インバウンド観光におけるチャットボットの可能性 第1回 ビーボットが提供する4つの情報

Bespoke Inc. ファウンダー&CEO

綱川 明美 氏

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業後、豪系投資銀行で機関投資家向け日本株営業、デロイトで国内大手金融機関の海外進出支援、フィデリティ投信で国内機関投資家向け金融商品開発などに従事。フリーランスでの海外企業の日本進出支援を経て、2015年にBespoke(ビースポーク)を設立。

チャットコンシェルジュサービスとは

ビーボットは、外国人旅行者の旅先での疑問や要望に応えるための、チャットボット(AIを活用した自動会話プログラム)を活用したコンシェルジュサービスです。宿泊施設や商業施設などに導入してもらい、施設を利用する外国人旅行者に、スマートフォンのWEBブラウザを介して、目的地までのルート案内や近隣の観光スポットや飲食店の紹介・予約、館内施設・サービスに関する問い合わせ対応などの情報を提供します。

私はもともと旅行が大好きなのですが、旅先で感動したり記憶に残ったりするのは、ガイドブックやインターネットで調べた情報よりも、たまたま地元の人に薦められて行った場所やお店での体験だったりすることが多いものです。こうした旅先での感動をプラットフォーム化し、「地元の人が案内してくれているような安心感」をスマートフォン上で得られるようにしたのがこのサービスです。

昨今、訪日外国人客が急増していますが、宿泊施設の従業員が多言語に対応することはなかなか容易ではありません。ビーボットを活用すれば、他言語対応のコンシェルジュサービスを低コストで導入することができます。宿泊客は「この周辺でオススメのスポットは?」「食事の予約をしたいんだけど?」「Wi-Fiのパスワードは?」など、スマートフォンを使って24時間いつでも母国語で問い合わせることができます。現在対応している言語は英語と中国語(繁体字・簡体字)ですが、今後は対応言語をさらに増やしていく予定です。

サービス向上の観点から導入する高級ホテルも増えています。四つ星半や五つ星のホテルは、ホテルの中では、できることはほとんど手を尽くしていて、次はホテルの外ということで、周辺の情報を提供するビーボットのようなサービスが注目されるようになっています。

導入先は、ホテルニューオータニ、ホテルアラマンダ青山、グランベルホテルをはじめとする各地の宿泊施設を中心に、2017年から2018年にかけて、成田国際空港や東京駅でもサービスが始まりました。また、海外の宿泊施設でも導入が進んでいます。

AIと人力の融合で独自のサービスを提供

ビーボットの特長は、AIと人力を融合したシステムであるところです。基本的には自動的に対応しますが、常にスタッフがモニタリングをしています。なぜなら、機械的な受け答えだけでは対応しきれないケースがあるからです。例えば、お客様の中には、なぜか自分の顔写真を撮って送ってくる人がいます。そんな時には、モニタリングをしているスタッフがラフに「あなたは、雑誌の表紙を飾るべきだ!」と返すと、喜んでもっと写真を送ってきたりします。このように、AIで対応できないような質問などにスタッフが気づいたら、人力で対応します。同じようなやりとりが何度も発生するようであれば、自動化もしていきます。

全てを自動化せず、部分的に人間が関わることはとても重要です。例えばホテルの場合、クレーム対応は絶対機械でやるべきではありませんし、すごく喜んでいるお客様には、「ありがとうございます」と直接声をかけた方が良いでしょう。そういうエモーショナルな部分での人による対応は、少しでもいいので残しておいた方がよりスムーズなコミュニケーションにつながりますし、お客様に「また利用したい」と思ってもらえることが多いと思います。

提供する情報は4つのレイヤーから

ビーボットが提供する情報は、4つのレイヤーに分かれています。トップレイヤーは、契約先のクライアントから提供されたデータベースです。ホテルであれば、コンシェルジュデスクで用意されているような情報が提供されます。ただ、コンシェルジュデスクでの対面案内よりも、自動で案内するチャットボットの方が少しリスクを取れるので、対面では案内しないようなお店の情報を提供いただくこともあります。対面で案内する場合、確実にたどり着けて言葉が通じるところ以外はトラブルの元になるのであまり案内したくないのです。そんなお店でも、ビーボットによる案内なら、行くか行かないかの判断は自己責任になりますから、ホテル側も安心して案内ができます。

2つめのレイヤーは、ビースポークのデータベースにある大量のローカルコンテンツです。これには、以前自社メディアをやっていた時の情報や、社員が集めた情報のほか、ビーボットを通じてお客様から教えていただいた情報も含まれています。3つめのレイヤーは、提携している飲食店予約サービスや、アクティビティの予約サービスなどから提供されるデータベースです。そして最後、4つめのレイヤーは、Google PlacesやレビューサイトのYelp(イェルプ)のAPIを一部使っています。ただ、最後のレイヤーを使うことはあまりありません。

情報のプライオリティは1、2、3…の順ですが、上から順番にというよりは、何をどのタイミングでどう聞いたかによって提示する情報は変化します。トップレイヤーから2つ出す場合もあれば、トップレイヤーから1つ出して、もう1つは3つ目から出す場合、あるいは、全部スキップして最後のレイヤーから2つ出す場合もあります。

ビースポークは多国籍チーム

ビーボットは、全て社内で開発しています。スタッフは、私以外に日本人は一人だけで、後は皆外国人。フランス人がなぜか最も多く、そのほかは、中国、台湾、マレーシア、イタリア、タヒチ、インドと多国籍のチームです。

日本人の場合、優秀な技術者は大手企業に入るか、研究所に勤めるか、自分で始める人の3パターンに分かれるような気がしています。一方、日本にいて高い技術力を持っていながら、日本語がそれほど得意ではないために、大手や研究所では働くことができない外国人が少なからずいるのですが、当社ではそういう人材を採用している。なかには、実際にビーボットを利用してシステムに興味を持ち、当社に連絡してきて採用につながるケースも多々ありますね。

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