2018/05/01 伏谷 博之 氏丸の内を外国人にも魅力ある街にするには 第2回 東京の魅力を外国人にどう伝えるか

タイムアウト東京 代表取締役

伏谷 博之 氏

大学在学中の1990年にタワーレコードに入社。2005年、代表取締役社長に就任。2007年にタワーレコードを退社。2009年、ロンドン発のシティガイドマガジン『タイムアウト』のライセンス契約を取得し、タイムアウト東京を設立。

多様なコンテンツの中から、何を発信するか

東京の魅力を発信する上で難しいのは、多様な文化があるだけに、統一したイメージを打ち出しにくいところです。昨年末、『タイムアウト東京』の英語サイトでナイトライフ調査を行ったところ、日本の音楽をもっと聞いてみたい、ライブの情報が欲しいという声が意外と多いことがわかりました。しかし、例えば「Kポップ」ならダンスミュージックがベースになっているからパッケージ化しやすいですが、日本の音楽シーンは多様性がありすぎて、プロモーションしづらい。これは他のジャンルも同様で、例えば浅草を取り上げるとしたら、浅草寺をメインにすればわかりやすいけど、路地裏に行けば面白い店がたくさんある。日本は安全だから、あちこちをうろうろして、いろいろなものを発見して楽しめるのが東京の魅力なので、いろいろなものを紹介したいけど、その一方で、この時期にはこのコンテンツ、というようにバーンと出しづらい難しさがあります。

僕たちも、数あるネタの中から選ぶのに苦労していますが、次から次にネタが出てくるのは、東京という都市のすごさだと思います。『タイムアウト東京』の場合、英語版と日本語版で全く同じ内容ではありません。日本語のチームと英語のチームがあって、それぞれが面白いと感じたネタを集めてきます。日本語のチームが持ってきたネタを英語のチームにパスしても、外国人のエディターがそのネタを見て面白くないと思ったら採用しません。また、共通するネタであっても、取り上げるところが違っていたりします。だから、同じ店でも、英語版と日本語版ではレビューが違うんです。そこまでやらないと、外国人にはなかなか刺さらないと思います。刺さらないネタは、いくら他言語化しても刺さりません。日本人なら背景を共有しているので、誰が読んでもわかる文章が、背景を共有していない外国人にとっては何のことかわからない場合が多いんです。でも、そこに気づいている人は少ないですね。

外国人の目線で取り上げた情報は、日本人にも新鮮に映り、面白がってもらえるコンテンツになります。ガイドマップの『渋谷でしかできない101のこと』は英語版で作ったんですが、スポンサーなどから「日本語版もあっていいんじゃないか」と言われて、日本語版も出したんです。すると、日本人なら誰でも知っているだろうと思っていたカレー店などが日本の若い人たちに受けて、学生やカップルがチェックするような現象が起きました。LINE NEWSでも日本語で発信していますが、とても人気があります。

外国人でなければ思いつかない切り口がある

日本人が感じる日本の魅力と、外国人が感じる日本の魅力には、大きなズレがあると思います。例えば、沖縄を外国人に紹介する場合、日本人ならビーチリゾートや離島などを取り上げようとしますよね。ロンドンの『タイムアウト』でインターナショナルコンテンツディレクターを担当していた人が、ヴァージンエアラインから世界のトラベルディスティネーションランキングの編集を頼まれて、1位の沖縄を紹介した時のキャッチコピーは「この素晴らしいビーチで、和食が食べられる」でした。海外の人たちからすれば、ビーチリゾートで本物の和食が食べられるなんて、一石二鳥だなと思うわけです。こういう切り口は、僕ら日本人にはなかなか思いつけません。ですから、いろいろなコンテンツは日本人が自分たちでプロデュースするにしても、全体をどうオーガナイズするか、どう紹介するかは外国人に任せた方が面白いかもしれません。

今、日本にもIR(カジノを含めた統合型リゾート)をつくる動きがありますが、それを日本の企業が手がけるのと、サンズなどの海外企業が手がけるのとでは、多分全く違ったものになると思うんです。その差は厳然としてあって、それを何とか可視化して調整する方法を自分たちで見つけるか、あるいは外国人や、外国人的感性を持った日本人と組んでやる必要があるのではないかと思います。

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