ニュースリリース
三菱地所株式会社
平成15年10月31日

各位
三菱マテリアル株式会社
三菱地所株式会社


OAP敷地等表層土壌の自主調査結果と対策について



三菱マテリアル株式会社と三菱地所株式会社(以下;事業者)は、大阪市北区の大阪アメニティパーク(以下:OAP)について、昨年9月に建物地下に浸出する湧水に重金属が検出されていること、生活安全面について調査・評価を得ることを発表しました。表層土壌調査の結果、鉛の含有量基準値を超過(1.1~1.3倍)した4地点については、本年7月に対策工事を実施しました。更に、OAPの開発に伴い設置された後述する公園部および住宅棟の裸地部におきましては、植栽に適した冬期に、基準値を超過していない部分も含めて、表層土壌入替えを実施すべく準備を進めてまいりました。今般、同公園部につきまして、所管行政機関と合意の上で、近く土壌の入替えを実施することとなりました。また住宅棟敷地につきましてもマンションにお住まいの皆様(以下:居住者)に対して、対策のご提案を申し上げているところです。


1.調査の経緯
事業者は、健康・生活安全面に係る現状調査ならびにその評価を自主的に実施することを居住者に対してご提案した上で、パシフィックコンサルタンツ株式会社(以下:第三者調査機関)に調査を委託しました。その一環として1989年まで操業をしていた三菱金属(現三菱マテリアル)大阪製錬所跡地の裸地部、即ちOAP敷地内及びOAPの開発行為に伴い設置された公園で、1996年1月に事業者が提供し現在 桜之宮公園の一部になっている2区画(以下:公園部)等の表層土壌調査を行いました。調査期間が「土壌汚染対策法」(以下:新法)への移行時期に重なり、本年6月に全ての公定分析データを第三者調査機関より受領しました。


2.学識経験者検討委員会による評価
今般の調査の評価は、第三者調査機関からの再委託により財団法人日本地下水理化学研究所内に組織された学識経験者検討委員会「OAP土壌の調査・対策に関する検討委員会」(委員長:村岡浩爾=大阪産業大学教授、委員は別紙(1)の通り、以下:検討委員会)に、健康・生活安全面の観点より調査結果の評価を審議頂き、検討評価報告書を去る7月に受領しました(その要旨は別紙(2)の通り)。また、報告書に基づき9月には村岡委員長より居住者、事業者に対して評価内容を直接ご説明いただきました。


3.含有量分析の結果と対策
(1)分析の結果
新法による土壌を直接摂取した場合の健康への影響を評価する土壌含有量分析の結果、全135地点中4地点から鉛の基準値超過(1.1~1.3倍)が確認されました(詳細データは別紙(3)の通り)。 一部に基準値超過があったことについて大変遺憾に存じております。なお、新法が施行になるまで指針とされていた「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針運用基準」による含有量分析の結果では、含有量参考値を超過する地点はありませんでした。

(2)対策
事業者は、第三者調査機関より公定分析全データ受領後、速やかに大阪市にご報告しました。住宅棟敷地内につきましては、居住者の組織する管理組合にご報告・ご了解のもとで、7月9日から工期3日間で当該エリアの表層土壌の入替えを新法に基づく覆土対策基準に準拠して実施済みです。 一方、公園部については大阪市と協議し、7月9日より工期3日間で当該エリアに天然芝を敷設する応急措置を講じました。なお、芝の敷設は応急措置であり、植栽に適する冬期に、後述の溶出量対策と合わせ土壌入替えを行なうことと致しました。


4.溶出量分析の結果と対策
(1)分析の結果
OAP敷地内および公園部では地下水の揚水利用がなく、溶出により健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いものの、土に含まれる成分が水に溶け出し、その水を飲用等した場合の健康への影響を評価するために用いられる溶出量分析も実施しました。分析の結果、27区画中5区画で基準値超過が確認されました。更に超過がみられた公園部、住宅棟部については区画内の75地点で分析を実施した結果、37地点から基準値超過が確認されました。(詳細:別紙(3)の通り)

(2)対策
前述の通り健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いものの、より安心して利用・生活できる環境を確保する見地から、公園部の土壌入替えを、植栽に適した冬期に完了していきたいと考えています。敷地内につきましても、居住者に対して住民説明会を開催し、土壌入替えなどの対策をご提案しております。居住者からご了解があり次第、工事に着手してまいりたいと考えております。 なお、この対策は学識経験者より適切な対策であるとの評価を受けております。

公園部表層土壌入替え工事(事業者案)

対象面積

1,780m2 対象土量 1,157m3

工  期

来年3月工事完了予定

土壌の入替え工事は新法に基づいた内容で実施する予定です。


5.土壌ガス分析の結果
調査対象地内の5地点で実施した10成分の土壌ガス調査の結果、全ての地点で検出されませんでした。


6.湧水の対策強化について
前述した対策は、表層部における対策です。既に公表した敷地建物地下に浸出する湧水に含まれる重金属については、本年1月に有害物質を化学的に取り除く施設を設置して、下水道への排出基準以下に除害した上で下水道に放流しています。 今後もこのシステムを継続していくこととしています。このシステムは、検討委員会からも適切な措置であるとの評価を得ております。


以 上



別紙(1)

【学識経験者検討委員会委員名簿】

 委員長

村岡 浩爾(むらおか こうじ)専門:環境水理学
大阪産業大学人間環境学部教授 工学博士
大阪大学名誉教授
財団法人日本地下水理化学研究所副理事長
環境省中央環境審議会委員、大阪府環境審議会委員、兵庫県環境審議会委員

 委 員

阿部 信晴(あべ のぶはる) 専門:土質力学、環境地盤工学
大阪大学大学院工学研究科助教授 工学博士

 委 員

平田 健正(ひらた たてまさ)専門:環境水理学
和歌山大学システム工学部教授 工学博士

 委 員

福永 勲(ふくなが いさお)専門:環境工学(水質汚濁、水辺環境)
大阪人間科学大学人間科学部教授 工学博士

 委 員

森 祐行(もり すけゆき)専門:環境社会工学、資源処理工学
九州大学名誉教授 工学博士

 委 員

山口 梅太郎(やまぐち うめたろう)専門:資源開発工学
東京大学名誉教授 工学博士

(敬称略、委員:あいうえお順)

 
以 上



別紙(2)

【OAP土壌調査に係わる検討評価 総合評価】

学識経験者による検討委員会にて示された見解に基づき、OAP住宅地区の居住者、およびOAPや公園を利用する一般公衆の対象地での健康に対するリスクについて、技術的観点より第三者調査機関によって纏められた報告書の「総合評価」において次の通り評価されております。(以下、「総合評価」全文引用)


1.地下構造物中の浸出水による健康リスク
OAP地下構造物内で発生している浸出水は地下構造物の最下底に位置する湧水槽に集水されており、OAP住宅地区に居住する住民又はOAPを利用する一般公衆がその浸出水に直接接触する可能性はない。また、集水された浸出水は除害施設に導水され、下水道排出基準以下に処理された後、下水道に放流されているため、この浸出水が周辺環境に影響を及ぼすことはない。 したがって、地下構造物内で発生している浸出水に対する生活安全性は確保できている。


2.表層土壌の直接摂取による健康リスク
表層土壌調査の結果、住宅棟周辺部の土壌含有量基準または土壌溶出量基準を超過した表層部については、深度50cm以上の表層土壌を非汚染土壌と入れ替える。また、非汚染土壌と地山との境界部に砂利層を設けることは、両土壌の境界を示すと共に、土壌水分の鉛直上昇を遮断する効果がある。これらの措置の実施により、表層土壌の直接摂取に対する生活安全性は、確保できる。


3.公園部の対策について
公園部については検討委員会の中では審議されていないが、各委員へのヒアリングの中で次の見解を得ている。
OAP周辺の公園部の表層土壌調査結果において土壌含有量基準または土壌溶出量基準を超過する表層土壌の存在が判明しており、この表層土壌についても、住宅棟部と同様な措置を実施することによって、直接摂取に対する生活安全性は確保できる。


 
以 上



別紙(3)

【表層土壌調査結果】

全調査のうち、基準値を超過した区画・地点のデータは次の通りです。

(1)含有量値分析結果(新法に基づく) :mg/kg 135地点中基準値を超過した4地点の分析結果

区画番号
項目
地点番号
混合試料
新法による
指定基準値
0
1
2
3
4
3
16
87
89
188
31
85
150
26
83
38
38
56
178
50
27
187
161
88
129
95
161

区画番号3は、OAP敷地内マンション付近、26、27は公園

(2) 溶出量値分析結果 :mg/L 27区画から絞り込んだ75地点中基準値超過した37地点の分析結果

区画番号
項目
地点番号
混合試料
環境基準値
0
1
2
3
4
2
セレン
N.D.
0.011
0.059
0.005
0.010
0.005
0.01
砒素
N.D.
0.093
0.074
0.079
0.044
0.008
0.01
3
セレン
N.D.
N.D.
0.022
0.031
0.013
0.005
0.01
N.D.
N.D.
0.011
0.051
0.007
0.006
0.01
4
セレン
0.009
0.13
N.D.
0.019
0.005
0.005
0.01
5
セレン
0.034
0.007
0.019
0.022
0.023
0.019
0.01
砒素
0.15
0.034
0.19
0.19
0.064
0.069
0.01
8
セレン
N.D.
N.D.
0.042
0.007
0.025
0.007
0.01
砒素
N.D.
N.D.
0.057
N.D.
0.014
0.009
0.01
9
セレン
0.29
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.005
0.01
10
セレン
0.033
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.007
0.01
11
セレン
N.D.
N.D.
0.64
0.24
0.070
0.028
0.01
砒素
0.005
0.006
0.058
0.070
0.010
0.017
0.01
12
セレン
0.018
N.D.
N.D.
N.D.
0.006
0.006
0.01
25
セレン
0.016
0.094
N.D.
0.017
0.008
0.020
0.01
砒素
0.036
0.19
0.012
N.D.
0.029
0.043
0.01
26
砒素
0.017
0.013
0.067
0.024
0.018
0.037
0.01
27
砒素
0.060
0.020
0.032
0.034
0.034
0.17
0.01
ふっ素
0.34
0.82
0.46
0.20
0.20
0.54
0.8
区画番号2~25はOAP敷地内マンション付近、26、27は公園
N.D. 定量限界値未満(<0.005)



以上