第三者意見

第三者意見

三菱地所といえば、東京の顔「丸の内」。日々通勤する身には「丸の内」の変容ぶりに、良い意味で驚かされます。高度成長期、会社人間の経済基地としての無機的な丸の内から、国内外のさまざまな老若男女に開かれ、ビジネスに加え観光やショッピングなど憩える場所として、豊かな日本の象徴としての丸の内へ。しかし、それは自然に勝手に「まち」が変化したのではありません。
本報告書では、こうした時代の要請に応える「まちをつくりかえていく」ディベロッパーの理念や哲学と、経営戦略と行動計画が紹介されています。同時に楽しく「まちづくり」をやっているワクワク感も伝わってきます。通常優れたCSR報告書からは使命感を感じますが、ワクワク感が伝わってくる報告書は初めてです。なぜなのか?
杉山社長のコミットメントの「まちづくりを通じて社会に貢献することが、三菱地所グループの基本使命。時代の要請、社会の課題に、まちづくりを通じて取り組んでいきます」がその答えです。本業として、時代の変化と社会の要請にこたえる「まち」をつくる、それはつきつめれば人を幸せにする社会づくりでありワクワクさせるすごく楽しいことなのでしょう。
その手順として報告書では、社内外のステークホルダーの意見を基に5つのCSR重要テーマ(社会の要請)を洗い出し、それぞれ25のKPI(三菱地所グループのまちづくり)を決定したプロセスと具体的な中身が報告されています。
三菱地所グループならではのテーマは、「社会と共生したまちづくり」「先進的なまちづくり」「環境」の3つです。通常本業とは距離のあるCSRとされがちなこれらテーマが本業の競争力に直結することがわかります。「社会と共生したまちづくり」では、丸の内仲通りを「都市の居間」として創出したとあります。それはゆとりと豊かさも兼ね備えた21世型ビジネス街が提供すべき価値を示しています。自然災害やテロの懸念が世界的に高まる中で、ハード・ソフト両面での防災の取り組みは、信頼できる「まち」の基本要件です。
「環境」で印象深いのが大手門タワー・JXビルです。ビルの省エネは当たり前ですが、水資源管理は今後の重要な課題であり、この皇居外苑濠水の浄化施設を整えたビルはお濠という地域の自然資源をマネジメントし有効活用する、三菱地所グループでしかできない取り組みでしょう。マンションや社宅、戸建て住宅などの、省エネ、リノベーション、国産材活用、豊かな植生などの取り組みは気候変動、資源循環、ヒートアイランドなど多面的な環境問題解決の好事例です。
「先進的なまちづくり」の取り組みとしては、NPO、社会起業家やベンチャーに、丸の内や大手町というブランド価値の高い場所にインキュベーションオフィスや活動の場を提供されています。これらは一見地味ですが日本の次世代をリードする企業や産業の育成を支援する貴重な取り組みです。
こうした「まちづくり」が丸の内から日本全国へ、さらに世界にも広がって、持続可能な「くにづくり」につながるのだろうと考えます。しかし残念ながら、KPIを見る限り、まだ多くが事例という「点」にとどまっているようです。
そこで是非期待したいのは以下です。
パリ協定やSDGsでは2030年から先の、長期スパンの活動が必須です。
そもそも「まちづくり」は時間がかかります。現在の2020年ビジョンを超える「まちづくり」長期シナリオ策定を期待します。同時に、現在の点としてのKPIを線から面へ、つまり事業の本流へと育成する事業戦略も併せてお願いします。
そこで肝要なのが「ひとづくり」です。インバウンド、アウトバウンドのビジネス強化を謳う中で、一段と多様なニーズに応える「まち」が求められます。女性活躍の状況などを見る限り、社内という「まち」の多様化を加速化すべきでしょう。
世界的には、テロが頻発し、集中豪雨や竜巻などの異常気象が常態化し、社会・環境面の不安感が増しています。社会が持続していく上で不可欠な、災害に強く、命を守り、安心・信頼できるレジリエントな「まちづくり」へのリーダーシップを期待します。

写真:(株)大和総研 主席研究員 社会的責任投資フォーラム 共同代表理事 河口 真理子 氏<

(株)大和総研 主席研究員
社会的責任投資フォーラム
共同代表理事
河口 真理子 氏

ご意見をいただいて

三菱地所(株)執行役常務 吉田 淳一

今回ご意見を頂きました河口氏には、当社グループCSR重要テーマ選定プロセスの中でステークホルダー・ダイアログにご参加いただいたこともあり、当社グループ事業への深い理解のもと、貴重なご意見を賜り誠にありがとうございます。 時代の変化と社会の要請に応える「まちづくり」を続けていくことこそが、当社グループの基本使命の実践であるとの意を一層強くいたしました。CSR経営を一層推進するために、CSR重要テーマ(社会の要請)に沿った当社らしい活動を継続的に行っていくとともに、ご指摘いただいた課題を踏まえ、より長期的な視点で本業としてのCSR活動の充実に努め、併せて、多様なニーズに応えられる「ひとづくり」にもこれまで以上に取り組んでいくことで、企業と社会の持続可能な発展をめざしてまいります。

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